2
「フィーが嫌がってんだから、早く雛森達の所へ行ったら?」
「まだ、朝の挨拶をしてない。」
「えぇ?なんでそんな事で逃げてんの?」
「・・・・龍のキスは朝からバカなの?!って言うか、恋人にする感じのディー・・・・んん゛ぅつ?!」
ディのカーディガンに隠れながら反論していたが、ディのカーディガンをめくり頬に龍の手の感触を感じたかと思うと、そのまま朝の挨拶をされてしまった。
唇に。
何度も。
角度も何も確実にキスをしている事だけはわかるから、黄色い悲鳴がかなり上がる。
これだけギャラリーがいるんだ。
周りが、叫ばないはずがない。
その声が校舎の外まで聞こえそうなほど大きく、響きわたっている。
『朝の挨拶にしては、本当に長いね。それ、普通自分の恋人にするもんでしょう?』
目は笑わず口元に笑みを浮かべたままのディが振り返りながら感想を述べる。
『朝からディープなんだって!龍の挨拶は!もう、だから逃げたのに。それにディ、今の龍に何を言っても無駄だから、だって、この龍寝ぼけてるだけだもん。ほぼ寝てる状態だから。』
『は?寝てる?』
『挨拶しようが何をしようがまだ寝てるの。だから・・・・』
龍に満面の笑みを浮かべれば、視線を合わせて龍も甘い笑みを向けてくる。
その瞬間、パァァンとほおを思いっきり引っ叩いた。
『うわ・・・。痛そう・・・・。』
『起きたか?ねぼすけ』
『ってぇ、あ?なんだこの状況。どうなってるんだ?フィー。』
お決まりのセリフに私はもう一発引っ叩いた。
「え?!もしかして起きているようで実は寝ぼけていたの?」
「ご名答。だから自然に起きるのを待っていて欲しかったのだけれど、急用だと言ってたから。」
「・・・早く行こう。」
驚く雛森くんに、そんな事よりも急ぐぞと言わんばかりに日高くんが龍の腕を引っ張り連れて行った。
結構力あるんだ。
と、3人を観察しながら思った。
大きな嵐が過ぎた所で、教室の内部は微妙な空気が流れていた。
というより皆さん耳まで赤いけど大丈夫?
ギャラリーの女子達から睨まれると思えば、逆に興奮気味な状態で何か盛り上がっていらっしゃる。
うん。睨まれるより楽なのでそのまま放っておこう。
『フィー、ちょっと。』
龍たちが出て行った後、私はディに抱き抱えられた。正確には肩に担がれた。
「小川さん、ちょっとフィーの消毒をしてくるから、先生には適当に言っておいてください。」
近くにいた小川さんにディがそう伝言を残すと私たちも教室を後にした。
『どこに行くの?』
ディの肩に担がれたまま、私たちは廊下を移動する。
廊下に人の気配はなく、皆各々の教室にてHRの最中なのだろう。
なので、現状多くの生徒に見られることは無かった。
下に降ろしてくれる気配なんて微塵も感じないので、無駄な抵抗はやめた。
せめて体制だけは変えようと身をよじる。
私の動きにディも立ち止まり、降ろしてくれるのかと思ったら膝の下あたりに手を置くと、ディの腕に座るような形に抱きなおされ再び歩き出した。
連れてこられたのは、校舎の隅にある生徒会室。
扉をノックする前に、ディに唇を塞がれる。
消毒と言われたが、疑問符をたくさん浮かべ、扉をノックした。
ただ、返事を聞く前にディは扉を開けた。
室内には生徒会役員である龍たち3人が何かを話し合っていた。




