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皇帝の呟き

俺がその話を聞いたのは、交換留学生が編入してくる前日だった。

その日も朝からブリリオの仕事が忙しくて、出席日数と単位が足りている授業は全て欠席した。

そもそも必要な単位は前期で全て修得しているのであとは出席日数だけが問題なのだが、生徒会長である俺はある程度免除されるから助かっている。

情報の発信源は、我が生徒会の参謀で会計の日高達也だ。


「今回の交換留学生は男女1名ずつですよ?2人ともアメリカの学校では首席と次席の成績優秀者です。」

「名前は?」

「女子生徒が、ソフィア・エマ・スチュアートさん。男子生徒が、ダニエル・ディ・ウィリアムさん。ちなみに首席はスチュアートさんの方です。」


ソフィア(・・・・)の名前に反応を示し書類から顔をあげる。

そうそう同姓同名などいないだろうと思いながらも、俺の頭の中には1人の少女の姿を思い出す。

最後に会ったのは俺が10歳の時だ。

お袋の転勤でアメリカから日本へ帰国する空港で会ったのが最後。

思い出すだけで少し口元が緩む。


「珍しいですね。龍哉が交換留学生に興味を示すなんて。」

「ちょっとな。それよりも寮で会えばいいんじゃないか?前日なんだかもう入寮はしているのだろう?」

「いえ、彼女達は外にマンションを借りているみたいですね。到着は2人の都合ですので、明日の早朝になるんだとか。なので、明日朝一で教室に彼女達に会いに行こうかと思います。」

「分かった。」


達也に突っ込まれるものの、明日教室に会いに行くのだと告げられると、残りの仕事も一気に終わらせた。


翌日、HRが終わるころを見計らって交換留学生が転入したクラスに顔を出した。

教室の入口で向こうから声をかけられた。

俺は、2人から少し離れた場所で立っていたが、交換留学生の方へ視線を移せば髪の毛と身長が少し伸びた、幼馴染が立っていた。

俺が、名前を呼べばフィーは嬉しそうに笑い、両手を広げていつものようにハグをしてチークキスをする。

その後、ぎゅうと抱きしめてくれて俺は、ご機嫌だった。

そして、フィーとの再会を邪魔した奴が居た。

もう1人の交換留学生、ダニエル・ディ・ウィリアム。


殺気と共にフィーに気安く触るなと言わんばかりの空気を醸し出している。

正直気に入らない。

フィーの隣はずっと俺だった。

俺の特等席だった。

それは今も昔も変わらないはずなのに、フィーの隣に当たり前にいるのはあいつで、フィーもかなり気を使って許している。

傍から見れば、恋人同士に見える。

それくらい、距離は近いし仲がいい。


だが、幼馴染なのは俺で、フィーの態度からしてまだあいつの気持ちに気づいていない。

ならば、当然俺にもチャンスはあるはずだ。

まずは離れていた、8年分の微妙な距離を埋める事にしよう。

半年は時間がある。

欲しいと願ったものは全力で奪いに行くのが俺の性分だ。


だから、覚悟しておいてくれよ?フィー(愛しのお姫様)

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