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門のところで龍と別れの挨拶をすると、頭上で火花が散った気がするのは気のせいだということにしようと思う。

なんで初日でこんなに仲が悪くなるのかが分からない。

仲良くなれそうと思っていたのに、そこは誤算だった。


正門から歩いて10分くらいのところに建っている15階建てのマンションが、留学中の私たちのシェアハウスだ。

間取りは2LDKだが、アメリカ(向こう)を発つ時に“ベットはセミダブルで準備しているから。”と言われた。

要するに、ディの精神安定をよろしく。

ということだろう。

そこまでわかっているなら、なんで私たちに交換留学を押し付けてきたのだろう?

こちらに来るまで、少し仕事が立て込んでおり、ゆっくり休む暇は無かった。

ゆっくり休める!と思ったら今回の交換留学。

そして、電話口でのルイスの言葉からして絶対面倒な仕事を押し付けられたと私は確信をした。

帰ったら存分に文句を言ってやろう。


『エマ、お風呂入っておいでよ。』

『うん。髪の毛、ちゃんと乾かしてよ?』

『面倒・・・。』

『面倒って言わない。そこにドライヤーは置いているから。』


着替えを持ちディにはきちんと釘を刺すとお風呂場へ向かった。

2人でいる時は、ディは私の事をミドルネームのエマと呼ぶ。

一回、疲れが溜まってブチギレた時の暴走を抑えるために、お願い一つだけ叶えてあげるから!と言ったのをきっかけに、2人でいる時はエマと呼ぶ事になった。


『・・・・こうなるよね・・・・。』


お風呂から上がった私は寝室に戻ると、やっぱりと予想通りの光景にため息が出た。

ベッドの縁に大きめのクッションを二つ置いてベッドに頭を預けたままベシ眠っているディの姿が目に入った。

いや、確かにさっき少し眠たそうな顔していたけれども?

頭乾かせって言ってたのにも拘わらず、読書してそのまま爆睡?

眠たいなら本なんて読まなくて、髪を乾かしてベッドで先に寝ていればいいものを。

190cmもある異性を運ぶなんて到底無理なので物音で起きてくれるのを少し期待しつつ、髪の毛を乾かし始める。

ついでにディの髪も乾かそう。それで起きないかな?


さて、何から始めようか・・・。

龍が言っていた第一図書館で調べてみるのもありだけど、データが残っているかが怪しい。

そもそも学院側が操作をもみ消しているのであれば、時期に関しての学院新聞の記事が存在するとも思えない。

となると、参謀である日高くんにお願いして情報を開示してもらうしかないかな?

でも、そうなるとこちら側もなぜその情報が必要か?

だとか、情報は誰にも渡さないとかだったら非常にめんどくさい。

そもそも、龍も“警察を信用していない”って言ってたしな。

警察の真似事で調べるなとか言われそう。


「・・ふわぁー。よし、今日はもう寝よう。時差ボケもまだあるし、頭が働かない・・・。」


戸締りを確認してサイドランプをつけて、部屋の電気は消す。

クッションに埋もれるようにして眠っているディに毛布をかけ、私はベッドに潜り込む。

髪を乾かす事で起きるかと思ったのに。

明かりを一つ暗くして、瞼を閉じる。

今日は色々あった・・・・。

でも、昔馴染みの人たちに再会ができて嬉しかった。

ウトウトしながら今日の出来事を振り返ってみる。

事件が起きた事以外は、幸せで嬉しい出来事だ。

何より、制服が着るという嬉しい特典付き。

アメリカでは制服が着ることはなかったから、制服というものが新鮮で仕方がない。

ふふっと口元が緩む、それ位嬉しかった。

ギシリとベッドが軽く沈むと、後からディの体温を感じた。

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