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月夜に輝く君の髪。
サラサラと揺れる白髪はとても美しい。
満月の日は特段に輝いて。
新月の日は風になびいて。
あなたと過ごした夜の物語―
◇
私は悪魔のレーネ。
小さめの羽とツノが生えている。
空は飛べるが持久力がないためにすぐに落ちてしまう。
学校のなかでもかなりの落ちこぼれだ。
周りと比べてばかり居たせいかいつしか学校にも行けなくなってしまった。
そんな中、天使のユリアに出会った。
白髮に大きな翼。水色の綺麗な瞳。長い白いまつ毛。
すごく綺麗だった。
真っ暗な夜に出会ったはずなのに、彼女は輝いて見えた。
大きな天使の輪のせいだろうか。
「すごく、綺麗…」
つい口から言葉が漏れてしまった。
思ったことをすぐに口にしてしまうのが私の悪いところ。
あの方に聞こえていなければいいのだけど。
「ねぇ、あなた。私のこと綺麗だって言った?」
「あの、ごめんなさい。すごく美しくて綺麗で本当に、あの…」
「焦らせてしまってごめんなさいね。私はユリア。あなたの名は?」
「レーネって言います。」
「そう、あなたはあの悪魔の。」
「私のこと知っているんですか。」
「ええ、学園内で有名ですもの。」
ユリアは私が魔法の授業で大失敗して私の身体が丸焦げになったことを知っていた。
恥ずかしすぎて死んでしまいたい。
「丸焦げになったって聞いたけど焦げてないのね。」
「保健室の先生に回復魔法で治してもらいました。」
「へぇ。」
ユリアのテンションが急に下がった。
なにかやらかしただろうか。
「あなた学校来てないんだってね。寮から出ずに引きこもっているって聞いたけど。」
「私、魔法も勉強も苦手で周りから置いていかれてしまうんです。私が居たら周りに迷惑ですしもう行きたくなくて。」
「そう、誰もあなたのことなんて気にしてはいないと思うけど。みんな同じよ。必死でついていっている。」
「そうですよね。ところでユリアさん、もう夜明けますよ。」
「あら、本当。東の空が明るいわ。」
「寝なくていいんですか?」
「授業中に寝るからいいわ。寮に戻らないと。じゃあね。」
「あ、はい。おやすみなさい。」
寮に戻り、布団に包まる。
朝日が差し込んできたと同時に私は眠りに落ちた。
学校に戻る日は来るのだろうか。




