2021年9月28日放送 フラワーラジオ ポストメディデアン火曜日 八巻和行の七転び八巻 妄想【愛の劇場】#3 公園
サクソフォン奏者八巻和行さんのラジオ番組
こうのすFM フラワーラジオ
フラワーラジオ ポストメリディアン火曜日(午後4時~午後6時)
八巻和行の七転び八巻
というラジオ番組の投稿コーナー
妄想【愛の劇場】
毎週パーソナリティ八巻さんから出題される【作品のテーマ】を小説風に書いた作品を投稿するコーナー。
小説の書き方を知らないシロウトが投稿コーナーに参加。
そのコーナーに投稿した作品をこちらに投稿しています。
妄想【愛の劇場】のコーナーで、絶賛!妄想仲間を募集中!!
こんな感じで大丈夫なので、コーナー投稿に興味がある人がいてくれると嬉しいです!
《番組への参加方法》
①フラワーラジオが聴けるように、ListenRadioのアプリをダウンロード
フラワーラジオを選局して、お気に入り登録
②パーソナリティ八巻さんのTwitterをフォロー
③毎週日曜日の夜に、八巻さんのTwitterから【作品のテーマ】が発表
④八巻さんのTwitterのダイレクトメールから投稿
※番組放送当日の火曜日午後6時頃までに投稿できれば、コーナーの時間に間に合います。
※何故か八巻さんが初見で読むルールのようなので、漢字には「ふりがな」をふって下さい。
小説の書き方を意識しながら文字おこしをしています。
文章はできるだけ、投稿当時のままにしています。
言葉が二重になるのが気になるところは、手直しをしています。
サイト投稿回数 第4回目の今回は………
2021年9月28日放送。
妄想【愛の劇場】#3 公園
奏と八巻シリーズの第三回目
奏の家の近所には、少し大きめのこども公園がある。
昼の明るい時間では、子供たちの遊ぶ声がにぎやかだが、夜も更けた今ではとても静かだ。
南東の空には、木星が鮮やかに輝いている。もう少し東に目を向けると、少しだけ欠けた月が優しく笑っている。
奏は、ひとりで公園のブランコに腰をかけていた。
スマホが闇の中で煌々と灯りを照らしている。
恋人の八巻にメールを送ったが、返信がなかなか来ない。
先日、八巻は奏の父親の博と会う約束をしていたが、仕事が急に入ったからと約束の場所には来なかった。
後日、その穴埋めに再び博と会うための計画を、八巻が立てると言った。
奏は父にその話をしたが、父は八巻に興味がないというようにその反応は薄かった。
「八巻くん。パパ、今度はいつ会えるか分からないって……」
奏が八巻に1時間以上も前に送ったメールには、未だに既読がつかない。
「八巻くんも、パパも、忙しいばっかり……」
奏は拗ねた風に独り言ちてスマホを閉じた。
ブランコを少しだけ揺らす。
「奏じゃん!どうしたの?」
奏は少し驚いて、声の方へ顔を向ける。
「誠也くん!!」
奏は声の主に驚きながら、嬉しいような、少し恥ずかしいような、はにかんだ表情で誠也と呼んだ男を見た。
奏の初恋の王子様。
今は他県に住んでいるはずの男の存在を、奏は不思議に思った。
「帰って来てるの?」
「妻がこっちで子供を生むから、手伝いに俺も来たんだ」
誠也は嬉しそうに話す。
誠也は奏の中学の同級生で、初恋の人だった。
告白はできなかったが、いい友達としての付き合いが続いている。
誠也は大学時代に知り合った女性が、同じ地元だった事もあり意気投合し、彼女と家庭をつくり今に至る。
奏は誠也の妻が羨ましく思った。
自分と子供の為に、こうして時間を割いて動いてくれる。
八巻との未来に、この様な幸せがあるのだろうか。
奏は表情を暗くした。
「大丈夫か?」
心配そうに誠也が声をかける。
中学時代から変わらない優しく力強い眼差しの誠也に、あの頃に似た心のトキメキを感じた。
八巻の話をしても、優しい彼は自分の事のように親身になってくれるだろう。
甘えたい気持ちもあるが、奏はぐっと言葉を飲んだ。
「何でもないよ。夜空がきれいだから、ちょっと散歩してただけ」
ちゃんと笑えてるかな……。
奏は誠也の瞳に映る自分の表情を心配した。
「そうか?なら、またな」
腑に落ちない表情をしながらも、誠也は手を振ってその場を離れた。
奏の周りに少しひんやりとした風が吹いた気がした。
幸せに充てられて寂しくなったのか、再びスマホを覗き込む。
未だに八巻からの既読はついていない。
「八巻くん、私の事ちゃんと見てくれてる?」
奏は月を見上げながら、八巻の心にメールを送った。
八巻からの既読はつくだろうか……。
奏は目頭が少し熱くなるのを感じた。
ありがとうございました。
次回もラジオ番組の投稿コーナー
妄想【愛の劇場】へ投稿した作品の投稿になります。
妄想【愛の劇場】#4「海」