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手出し

デュッセに戻って数日が経つ。


この頃になると店だけでなく屋台からも揚げ物の‘匂い’が漂うコトがある。




街角で、物欲しそうに屋台を見つめる子供が目に止まった。

揚げ物が食べたいのだろう。


デュッセ始め三街にはスラムはないと訊いている、何処の子供らだろう?

‘孤児院’だと思う。

シエルが推測を述べてくれた。



「やっぱ生活苦しいの?」


慈善活動は好きではないが、一応聞いてみる。

この世界は‘魔物’の驚異があるのだ、身を持ち崩す親などでなく孤児になる子供がいるのかもしれない。




「マスターの想像通りだ。

スラムはないが、引き取り手のない子供は教会が面倒を見ている。」



「教会?

……………‘聖女様’のいるトコロ?」


「ハイ。

そこの宗派がこの世界の第一宗教となっています。」



俺の知らない常識を教えてくれる。

どうもスラムというと印象がよくない。

孤児院も俺の年代ではかなりのカツカツ生活だった。

(←子供の頃に同級生としてそれなりの数がいた)


かと言って、孤児院の方が生活水準の高い家庭もあったケドね!



仕方ない、食べ物の‘匂い’は暴力ともいえる〜今の俺は当事者だかんね。


「君らは教会のトコの子かな?」


本人に確認だ、子供らは俺の問い掛けに怪しげながらも頷く。



「じゃ‘寄付’してもイイよね?」


再び頷く。



「よし。 家には何人いるんだ?

足らなかったらケンカになるだろ?」


話は通った。

なるべく‘可哀想’言わない会話を心掛け、先に進める。





俺は人数分+αの揚げ物を揃えていく。

両手一杯の中身の詰まった袋をみた子供達はようやく警戒が薄れた。

案内をしてもらい、孤児院に行った。



「どおしたの?」


スタッフの女性が少し慌てて子供らを出迎える。



「寄付をしたいのだが良いか?」


揚げ物の‘土産’袋を持ち上げる。

見知らぬ男である俺に若干の警戒はしつつも、同行者・シエルの存在で話が続いてくれる。



「ハイ、ありがとうございます!

この所〜揚げ物の‘匂い’が増えて、子供達共々気になっていたのです。」


素直に揚げ物の匂いに屈したコトを認める。

大人スタッフもまだ食べてなかったんだね。




「はは。

食べ物の匂いは強力ですからね!」


「えっと。

あの子らに聞いて用意したのですが、皆の分ありますかね?

今はこの数しか持てなかったもので。」



「重ね重ね申し訳ありません。

そこまで好意に甘えるワケには………。」


気にするスタッフに寄付の理由を話す。



「気になさらず。

白状しますが、この騒ぎは俺が原因なので。」



「え?

どういうコトでしょう????」


「遠征でサリオスに行きまして、海で懐かしい食材を見つけたんです。

で。

市場で調理して試食を行なったコトで揚げ物が拡がったのですよ!」




「そうだったのですか!

なら、好意に甘えさせて頂きます♪」


納得したのか、嬉しそうに応えるスタッフ。



「じゃ、もっと仕入れてきますね!

シエル、食事の準備の手伝いを頼む。」


シエルを孤児院に残し、俺は追加で様々な揚げ物を買った。

屋台での大量買いに、店の常連さん達が配達を手伝ってくれた。

助かる!


十分な量の揚げ物に、子供達はもちろんスタッフの大人らも喜んでくれた♪





孤児院を出てからシエルに尋ねる。


「孤児院ってどおいう仕組みと運営なの?」



「そうですね……。

至極当たり前の創りです。」


「神の名の下の慈善活動に依って、教団からの‘仕送り’と信者や有志からの寄付で成り立っています。

スタッフは教会の牧師やシスター、信者等。

私の様な無宗教の者からいえば、体面を繕う為の偽善施設であって‘利益’を産まないお荷物な存在だと。」



「ただ。

そこで生活をしなければならない子供には罪はないと思う………。」


暗殺者の衣を着るシエルも社会を視る心がある様だ。

罪者は宗教で‘儲ける’輩だ!



「だったら、牧師やシスターが子供の世話を無理なく出来る程度の関わりなら良いよね?」


「関わるのですか?」


怪訝な顔をみせるシエル。



「あの子達だけね!

食べ物関係の手出しは‘一度でも’したら罪なんだ。

一度でも美味しいモノを食べたら‘ひもじさ’が増すんだ。」


俺の考えにシエルは何も言わない。

子供らが、たまに美味しいモノが食べれる生活に出来ればゴールで良い!



俺はデュッセの孤児院に関わる事にした。






何処から手をつけるかな?


そおだ。

ギルマス&副マスと‘飲み会’開催しよう♪






新たなデュッセ編のスタートです。

サリオスでの‘揚げ物’が思わぬ余波を起こしました!


子供達を始め、地域の人々との接点が必要でした。

この辺の話を創らないと‘定住’への下拵えになりませんので…………。





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