初アタック
咆哮を挙げながらオークが来る。
右手に鉈、左手に逆手ナイフで構える。
う、うん?
オークの動きがヤケに‘ゆっくり’だ???
‘溜め’をいれて、掴みかかる右手首に鉈を叩き込む。
離脱もすんなり。
〜コレは‘素早く動く’能力の効果か?
今度は左手で掴みにくるオークの内側を抜け、ナイフで脇を切り裂く。
両側にキズを負ったオークの動きが止まる。
大したキズではないが〜俺を睨み、次の攻撃手段を模索している様だ。
うーん、‘火力’が足りないねぇ。
鉈とナイフだし………。
‘風魔法’、やってみるか?
兎に角〜強大な一撃だ。
ヤツを切り裂く刃を想像する、魔力を込める!
「‘風刃’っ!!!」
オークの動作にタイミングを合わせ、想像した風の大刃を叩き込む。
ズガッ!
轟音と共にオークの前身が弾ける。
斜めに入った切り傷がら血と内臓をぶちまけ、ドザッと前に倒れる。
ふ〜。
どおやら、勝てた様だ………♪
「大丈夫か~!!!」
声と共に、応援が3人やってきた。
応援を得たコトで、拮抗していた残りのオークも直ぐに倒された♪
周囲を確認する。
もう大丈夫そうだ。
息を吐く。
あかん、ホッとしたら疲れた!??
腰を降ろし………倒されたオークと治療中の冒険者らを眺める。
「おい、大丈夫か?」
金属製の防具を着けた男が声をかけてきた。
「ええ、まあ。 」
曖昧に応える。
「何だ? スゴいな!?」
「オークを2体殺ったのか???」
「いえいえ。 俺が着いた時、背後だったんで~1体は簡単だったんですよ♪
もう1体は………………死ぬ思いでした!」
苦笑いで応えを返しといた。
治療が終わる頃、追加の応援が来た。
街道際の出没に…………互いに難しい顔で相談後、解体を始めた。
俺はやり方は分からないし、まだやりたくもなかった。
だって、転生3日目だよ?
死人が出なかったコトもあり、解体後は浮かれ気味で帰街した。
守衛に報告後、改めて冒険者ギルドへ。
俺は初めての戦闘で疲れた主旨を告げ、名前と宿を教えて帰宿した。
宿の人にあらましを話し、風呂の手配をしてもらった。
返り血は殆んど浴びなかったケド〜オークは汚かったよ!
夕食迄まだ時間があるので、軽く仮眠を。
直ぐに眠れた。 やっぱ疲れていた様だ………。
翌日。
採取依頼をすっぽかしていたコトに気付き、そおっと申し訳なさげに受付けへ報告。
「あ、リュウさんですね!
話しがあるそうです、副マスの部屋へ来て下さい。」
受け付け孃に連れられ、副マス室へ。
「やあ。 私がココの副マスターをやっている‘ケイン’です。」
若い、俺と同じくらいか?
細見で身軽そうなイケメンが挨拶をしてくれた。
「君、スゴいね♪ オークを2体かい?
何処かで経験あるのかな?」
続けざまに話しかけてくる。
「いえ、この歳で初めての冒険者です!
両親が亡くなったのを期に、村から出て来たんです。
冒険者は憧れでしたので♪」
決めた設定通りの返答をする。
「そりゃあホンとにスゴいね! 前途有望な冒険者だ♪♪♪」
「さて、改めて。
奥なら兎も角〜街の近くの街道脇でのオークは、少しばかり問題なんだ。
‘はぐれ’ならしも、完全にチームだしね。
他にも山中で目撃報告も上がっている………。
早速今日から調査隊が山へ入っている。
良ければ〜君にも参加をお願いしたいんだケド。
どおかな?」
「いやいや。 俺って昨日登録したばかりの‘ペーペー’ですよ?」
「無理ですよ!」
慌てて断る。
「そんなコトないよ?
単独でオーク2体倒せる冒険者がペーペーな訳ないよ。
Cランク相当だね。」
「ところで~‘ペーペー’ってどおいう意味?」
はは………。
通じてなかったんかよ。
どおすんべ?
冒険者の救済とオークの討伐の功労で、昨日の採取依頼はキャンセルの処理をしてくれた。
それから、2体分のオーク代&救済応援金を受け取った。
救済金は〜頼んだ側から7のギルドから3の割合らしい。(上限あり)
45+45+10万円程、解体費は応援組の冒険者達へ。
はっはっは、装備代7割回収?
(←ポーション代忘れてる)
さらに。
‘制限付き’のDランクになった。
流石に‘経験不足’というコトで、Dのマイナスという表記になっている。
当然、+付きの人もいる。
ランク幅を補う為と能力の向き不向きを示すコトもあるそうだ。
(採取系や討伐系など)
残った時間は使ったポーションの補充や魔物の分布図の確認を行なった。
やっぱり本格的に調査隊に入るには不安だらけだし。(笑い)
‘着替え’や‘ひげ剃り’等の日用品もようやく購入。
髭面は好きじゃない。
ポーションはとても高価な品です!
ホイホイ使えません。
この世界の‘敵’は〜魔族・魔物なので、冒険者には温情厚い待遇があります。