移動
「暫く振りだな。 薬師に転向したのか?」
ヒューズの冒険者ギルドマスターの‘バース’が皮肉混じりに訊いてきた。
ココ暫く、俺は‘ほとぼり’を冷ますべく冒険者活動は控えていたのだった。
当然、冒険者ギルドには立ち入っていない。
「いえ、‘悪目立ち’しているから‘薬師’でポーション作らしてもらっているんです。」
折角、ポーション‘作成’に適正がある様なので~これ幸いと薬師ギルドに通っていた。
‘内職’に丁度良かったコトもある♪
「丁度だな♪」
バースは意味深な返答をする。
「領主から‘指令’がきた。 ‘デュッセ’へ行ってくれ!」
唐突な事を謂われた。
「何故に!??」
何故、移動の指示が‘領主’から出るのだろうか?
思いもよらない言葉に、強めに感情を籠めてしまった。
「今、自分で言ったろ〜‘悪目立ち’してるって。」
「‘コフィ’が大人気なんだと。 各領地からも‘ルドア’に人が集まって来ているそうだ。
ココ‘ヒューズ’は獣人国との中継地だ、万が一の‘遭遇’があり得る。」
「解ったか?」
ニヤリと笑うギルマス。
そっかー。
俺を知っている、若しくは探している奴等と‘カチ合う’事も考えられるってワケか。。。。
「あ〜。 了解、なるべく早く発つよ!」
俺は素直に了承した。
‘領主’様直々の気遣いだ、‘心遣い’に感謝せねば!
「すまんな! また遊びに来いよ!」
「すみません、お世話になりました。」
礼を言って別れた。
公として。
俺はギルドから‘指名依頼’が入り、デュッセに行くとなっている。
薬師と職業ギルドにも移動の挨拶をしておいた。
宿に戻った俺は、皆に移動の件を話し速やかに準備に入った。
宿屋暮らしだった事もあり、準備に然程日数は掛からない。
‘馬’は預かり場に預けていた。
ある程度の連泊になると‘運動不足’や‘ストレス’軽減の為、馬を預かってくれる場があるそうだ。
シフォンが頻繁に様子を見に会いに行ってくれていた。
この辺りは頭の下がるトコである!
宿屋の主人と女将さんに挨拶をする。
簡単な‘お別れ会’という食事会を開き、数ヶ月お世話になった宿を発った。
「久し振りだな、この馬車も。」
「デュッセには途中で一泊します。」
「‘夜営地’ですね。 ココも街公営で安全と言ってましたよ♪」
俺の呟きに、シフォンとカレンが応えてくれた。
‘普通’の移動は、ココで一泊だそうだ。
獣人国との交易を円滑に行なう為に‘ヒューズ’を街として拡充した経緯がある。
‘サリオス’海とのアクセスも考慮し、現在の様な‘三街’の衛星街を形成した。
宿泊施設まで手が回らないのかな?
魔物対策として、建物の維持はリスクが大きいのは解る。
ただ。
本格的に‘流通’を確立さすには‘道’と‘停泊地’の拡充は必要だと思う。
前情報通りの安全な夜営地だった。
伯爵‘公認’の夜営地なので、キレイだし守衛も警備も常駐していた。
ますます‘宿泊施設’がないコトが惜しい。
二日目ようやく‘デュッセ’に着いた。
デュッセの防護壁はヒューズよりも大きくシッカリしている。
海の街の向こうに‘帝国’があるから、とのコト。
何せ。
ココを‘抜ければ’獣人国やエルフの郷がある!
ある意味〜自然の産物‘以上’の価値がある土地だ。
そして、この‘特区’衛星街で唯一‘領主館’のある街でもある。
この街の重要性が表れていると言えよう。
「さて。 ココで暫く暮らすのか。」
俺は防護壁を眺め呟く。
御者台にはシエルだ。
ギルドの仕事で何回か来ているらしい。
「グレイ、取り敢えず宿でよいのだな?」
名前で聞いてくる♪
この街ではシエルとカレンも‘冒険者’として生活してもらうからだ。
やはり‘ご主人様’は不味い。
変な悪目立ちは避けたいのだから!
唯でさえカレンは‘エルフ’、シエルは元ギルド‘美人’職員なのだ。
この4人での生活なので、一軒家を借りる予定だ。
一軒家の‘維持’にはとても手間がかかる!
食事・食料の管理、掃除に洗濯〜防犯も考えればキリがない…………。
だが、難色を示したのは俺だけだった。
なので。
‘人を雇う’コトでOKを出した。
シエルも基本、シフォンのサポートだ。
シエルの‘探索&隠密’能力は家の防犯にも最適なのだ!
シエルから不満が出たが、‘主人権限’で黙らせた。
いや、これでもかって程‘別の声’をアゲさせてあげた〜ベッドで♪
ま、あくまでも‘一軒家’が決まってからの話だ。
良い人を雇用出来れば問題はない。
この中では唯一‘Cランク’相当のカレンを、俺と共に冒険者活動に専任して貰うコトにしている。
ポテンシャルはあるので、その内にランクアップするだろう。
シエルの行き付けの宿屋から‘夫婦’OKの宿を紹介して貰う。
シエル行き付け宿は‘女性専用’だった為だ!
宿はヒューズ程小振りではないが、中規模に近い大きさがあった。
その宿で、家族用の‘続き’に拡張出来る‘大部屋’を用意してもらった。
動く壁と衝立を使って4エリアを造った♪
シエル&カレン、シフォン、ベッドルーム、応接室間の4部屋だ。
俺の‘荷物’はシフォンの部屋とベッドルームに別けて置いてある。
コチラの世界では‘趣味’という名の贅沢は限られている。
特に俺が愛好していた様なモノはコチラでは存在していないし。
ヒューズで増えた荷物といえば‘コーヒー・セット’くらいのモノだ。
という訳で。
応接室間とベッドルームがあれば、俺は十分生活が可能なのだ。
だって妻と嫁さんが計3人だよ?
宿屋だし、女性陣の部屋が確保出来れば良い。
俺の‘寛ぐ’場所は応接室間でコト足りるのだよ!
後は宿屋の中庭かな♪
俺的には〜この宿でOKなんだケドね。
唐突ですが‘ヒューズ’編の終了です。
なんだかんだで‘コーヒー’騒動を利用して、‘デュッセ’への移動理由としました!
本来は‘隠れ住む’予定でしたので、周囲の環境や登場人物に影響が出ますねぇ。。。。
この‘デュッセ’編は長丁場の設定なので、様々な身近な出来事を予定しております。
さてさて、どおなるか?




