お試しお試し
バースが補佐官から特大の説教を受けている頃、俺は‘氷の塊’を担いで歩いていた。
手には赤ワインである。
コレは‘土産’だ。
ホントはエールが良かったのだが~数多引く程の大盛況になり、最終的に‘品不足’となり断念した。
今頃は職業ギルドでもバタバタしているかもしれない。
いや、しているだろう!
宿に帰るとジト目のシフォンに出迎えられた。
「お土産のワインと氷。 一緒に呑もう!」
脈絡もなく話を進める。
「で。」
「随分遅いお帰りですが………………何処でお愉しみに?」
こ、コレはマズい!?
所謂‘旦那を追求’ってヤツですか?
「べ、別に‘キレイなおねーさん’のいる様なトコで飲み食いオサワリなんてしてませんよ!!? 」
とりあえず、お約束の返答をせねば!
(←けっこう余裕ある)
微動だにしないシフォンに、俺は冷や汗をかく………。
「ギルマスに掴まって、フツーに飲んでいただけです!」
平謝りをしました。
宿の女将さんが爆笑していた。
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「すみません。
この氷‘食用’なので、半分もらってくれませんか?」
女将さんにもお裾分けを♪
「おや。わざわざ担いできたのかい!?」
女将さんは、驚きつつも期待の笑顔をみせる。
「グレイさんはどうやって食べるんだね?」
「冷たいお酒として呑みます。
店では‘白エール’で飲んでいたのですが~大騒ぎになってしまい、白エールが持ち帰れなかったんですよ!」
夕食をすっぽかした経緯を説明する。
「へー、エールを冷たくするのかい?」
「エール以外でも冷やすと美味しい酒がありますよ。
今度試そうと思っています♪」
キラン!
女将の目が光った気がした。
「ちょっと試してみましょ♪」
うきうきルンルンと厨房へと酒を取りにいった。
旦那さんは誘わないのですか?
女将さんもまた、大の酒好きの様でした。。。。
翌日。
職業ギルドから迎えの馬車がきた。
どうやら‘冷え冷え’エールが大盛況の高評価らしく、飲み方を発案した俺に幾つか資格を与えたいらしい。
昨日の飲み会での途中。
興にノッた氷の魔法使いが‘給水サーバ’の様な大型の容器を氷で造り、一気に量を稼ぐコトに成功した。
それを見た俺は‘ガラス製’のジョッキ&グラスの話をした。
冷えたビールにはガラスでしょ♪
そのコトも踏まえ〜常設用の金属製容器とガラス製のジョッキ&グラスも造る計画にした、とのコト。
ワイングラスは存在しているので、エールグラスはワイングラスの‘ビール版’という位置付けだ。
知らない内に大事になっていた!!!!
開放されたのは昼過ぎだった。
氷の魔法使いを‘わざわざ’用意しての試飲会を行なった為である。
‘試作’のガラス製のジョッキ&グラスも使われた。
個人的にはグラス派だが、労働者といえばジョッキだろう!
冷却サーバーから注がれるエールは地球のビールを彷彿させた。
ガラス製のジョッキ&グラスがよく似合う♪
ああ、日本橋銀座のサーバー注入のビールが懐かしい!
流石に昨日の様なバカ騒ぎにはならなかったが、大盛況といえる規模だった。
シフォンを連れてきて良かった♪
ちょっと昨日の店に行ってみよう。
店はごった返していた。
お得意様限定で‘冷え冷えエール’を試験販売しているらしい。
職業ギルドから‘資格’が決まるまでの間、当面は限定提供にする様連絡を受けたとのコト。
白エールの供給も追いつかないらしい。
‘頑張って!’
と声をかけ帰るコトにした。
久々にシフォンと街中をぶらぶら歩いた♪
あ。
冒険者ギルドには近づかなかったよ!
何か危険を感じたのだ。
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数日後。
薬師ギルドから‘特注品’の完成の連絡がきた。
シフォンと共に‘受け取り&試飲会’に出掛けるコトにした。
コチラが注文の品です。
台の上には〜‘見事な’コーヒー抽出用の器具が並んでいた♪
サイフォン・システムと円錐形ドリッパーである。
実に素晴らしい出来栄えだった!
サイフォンの‘支柱’も金属で造ってもらった。
(←持ち手は木製)
撹拌用の‘木ベラ’は当然で、耐熱ガラス製の‘マドラー’も幾つかお願いしておいた。
この辺は‘見栄え’目的だ♪
「洗浄は済ませてあります。 是非、お試し下さい!」
誇らしげにスタッフが語る。
このサイフォンの作製で尤も時間を掛けたトコロは‘濾過器’のパーツだ!
‘蒸気圧’で水が上下には動くので〜フィルターとロートの固定法は大事で、ひと工夫した。
地球では当たり前の螺旋スプリングが用意出来なかったので、蛇腹式の‘代用’スプリングを造ってもらった。
試作というコトで、耐久性まではクリア出来ず消耗交換品。
フィルターの取り付けは〜濾過の金属板を2枚にし、そこに‘挟み込む’造りにしてもらった♪
金属板は噛み合う対型にし、フィルターのズレや浮きのない様にした。
先ずは‘フラスコ’に水を入れ、火にかける。
そして‘ロート’に濾過器を取り付ける。
火が沸いてきた所でロートをフラスコにセットする!
お試しなのでコーヒー粉は入れない。
湯が上がってきた♪
木ベラで‘撹拌’のフリをする。
本番を意識し、だいたい1分程度の時間沸騰を続ける。
もう一度撹拌のフリをして〜火を避ける。
暫くすると。
シューと音と共に湯が落ちた♪
成功だ!
俺は懐かしさを噛み締めた。
「上手く出来ましたか?」
「ハイ。 全く問題ありません、上出来だと!」
しみじみとサイフォンを眺め応える。
次はコーヒー粉を入れて実践だ。
湯が上ってくるとコーヒーの匂いが拡がる。
シューと音と共にフラスコにコーヒーが落ちる。
‘おー!’
と歓声が響く!
「コレが‘サイフォン式’の淹れ方です。」
ロートを外し‘支柱’で持ち上げ、カップにコーヒーを注いだ。
ドリップも実践した。
コッチは形状こそ‘初’だが~30年も親しんだ淹れ方だ。
手順に問題ない!
ヤカンに似たポットで湯を沸かす。
その間に準備を終わらす。
湯が湧いたら~一拍おいて‘蒸らし’だ!
粉は慣れたサイズに近い粗さにしてみた。
3穴式とどう違うかな?
蒸らし中に匂いが立ち始める♪
蒸らしの終了を判断しお湯を注ぐ〜お湯の注ぎ方と量は人によって様々だ。
俺は湯が途切れない、かつ‘入れ過ぎない’微調整派だ!
適当とも言う。
最後はドリッパーの上部まで湯量を増やし、粉をフィルターに貼り付ける感じで終わらす。
コレは単に‘見た目’だ!
粉と泡がキレイにフィルターに拡がる景色はなんともいえない♪
ドリッパーを外し‘マドラー’でゆっくりと撹拌する。
「コチラが‘ドリップ式’の淹れ方です。」
長いお試し抽出が終わった。
‘冷え冷えエール’は季節柄、急遽ブチ込みました。
(←連日の夏日!)
初期設定ではない事柄なので、疑問解消に奔ります。
※‘料理店’と‘宿屋’を開く転生者達は‘開発’しなかったのか?
→→→彼らは‘店のメニュー’としての申請・登録をしていた。
→→→グレイは‘呑み方の一環’の提案・提唱を行なった。
つまり、グレイの方が‘汎用性’の高い事柄でした。
‘公共性’にも目を付けた‘職業’・‘薬師’両ギルドが動いた事で、新たな申請・登録へと結び着きました。
(←冷却サーバーなど)
更に。
後日ルドリウス伯が手を加えた事で、‘自店メニュー’に触れない正合性のある資格となりました。
こんな感じにしました。
m(_ _)m




