↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR

伝説の女子高生忍者 アヤメ忍法帖

作者: しめさば
掲載日:2020/12/26

 皆は忍者と聞いて何を思い浮かべるだろうか。

 手裏剣か、忍術か、それとも闇に潜む暗殺者か。

 古き時代に存在したその者達は、現代日本において絶滅したと考えられていた。

 しかし彼らはその名を変え、今も尚暗躍しているのだ。

 人は彼らを企業スパイと呼んだ。


 2020年冬。新型コロナウィルスが猛威を振るう不遇な社会情勢にも関わらず、新人としてデビューした風魔アヤメ(16)もその内の一人。

 新人ながら優秀な成績で忍者としての修行を終えた彼女は、今まさに最初の任務を遂行すべく、とある大手製薬会社の机の下で息を潜めていた。


 時刻は23時50分。既に社員達は帰路につき、オフィスにはアヤメただ一人。

 0時になればアメリカ本社からワクチンのデータが日本のサーバーへと送られてくる。

 それを盗み出すのが彼女の初任務なのだ。

 会社の内部構造、防犯カメラの数、警備員の巡回時間、更には会社内の人間関係まで。ありとあらゆる情報を網羅し、この日の為にシミュレーションしてきた。

 後は時が来るのを待ち、手にしたUSBメモリーにデータをコピーすれば無事任務は完了だ。

 ここまでは全てにおいてパーフェクト。机の下で体育座りしていたアヤメの顔は、自信に満ち溢れていた。


 5秒前、4……3……2……1……。


 0時丁度に机の下から瞬時に飛び出したアヤメは、手にしていたUSBメモリーをサーバーのメインコンピューターに差し込もうとした。

 しかし、1つの差込口に差し出された3つのUSBメモリーが互いにぶつかり、いるはずのない人影に驚愕した。


(まさか、競合他社!?)


 全員が後方へと飛び距離を取ると、USBメモリー片手に無言で見つめ合う3人。

 色違いの忍び装束。伊賀と甲賀だ。

 忍者業界のトップシェアを誇る3社が同じ獲物を狙っていたのだ。

 彼女達はプロ中のプロ。暗殺術において右に出る者はいない。

 その実力は拮抗し、牽制し合う3人は動くことが出来ず、モニターの光が彼女達を淡く照らしていた。


(先に動いた方が負ける!)


 3人はそのまま微動だにせず朝を迎え、あえなく全員が御用となり、アヤメの初任務は失敗に終わった。

 だが、未成年の彼女達が報道される事はない。そしてすぐに不起訴処分となり出所出来る事を知っていた。

 何故なら警察内部にもスパイがいるのだから。


 これは現代に生きる忍者の末裔、風魔アヤメの初任務の記録であり、最大の汚点である。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。