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97 世界樹の枝

フルーレティが現れた。呼びかけに応えてくれたんだな。


「フルーレティさん、先程は急に襲いかかってしまいましてすみませんでした」


『構わんよ。予想していた事だ』


なんかフルーレティの声が頭に響いている。口は動いていない。どうなってるんだ?


「あの、口を開かずに話をしているんですか?」


『ああ、そうだ。君はリゲルの言葉を理解出来ないだろう。だから思念を飛ばしている。我は君の言葉を思念に変換して理解している』


なるほど、やはりあのブレスレットがないとリゲルの言葉を使えないんだな。そして、フルーレティはおれがリゲルの言葉を話せないということを知っている。


「わかりました。私の左手首に付けていたブレスレットはあなたが持っていますか?」


『ああ、我が持っている。一旦預からせて貰った。後で返却する』


返してくれるらしい。後でがいつかはわからないが。


「フルーレティさんははじめてあった時から私のことを知っていると言ってましたが、何を知っているんですか?」


『全てだ』


全て?全てっておれの人生全てってことか?リゲルに来てからのことを調べたということではなくてか?


「全てというのは、私が美玲を探しにここに来ているということですか?それとも、」


『それともの方だ』


それとも私の人生のことですか?ときこうとしたとこで先に答えられた。


「……私の人生の全てを知っているというのですか?」


『そうだ』


「あなたは何者なんだ?」


『我は君だ。だから君のことを全部知っている。君が知らない君のこともな』


?なんだって???我は君だ?それはフルーレティはおれだということか???意味がわからない。


「あの、意味がわからないです」


『君の魂魄は我の魂魄の一部だ』


魂魄……。魂魄保護ポーションの魂魄だよな。輪廻転生とかで生まれ変わるやつだ。おれの魂魄がフルーレティの魂魄の一部?ならおれはフルーレティの生まれ変わりなのか?いや、フルーレティは生きて目の前にいる。魂魄の一部だけで生まれ変わった?なんだそれ?正直輪廻転生とかよくわからないけどそんなことあるのか?


『君が今思考した通りだよ』


え?おれの思考がわかるのか?おれが思考した通りってことはおれはフルーレティの魂魄の一部が生まれ変わった存在ということなのか……。


『そうだ。わかってくれたか。我はハイエルフだ。ハイエルフは木と共に産まれ木と共に成長する。木とは世界樹のことだ。我と世界樹は同一の存在だ。その世界樹の枝を切り落とした。その枝が君だ。世界樹の枝の特性は輪廻転生。つまり君は我が切り落とした我の一部なのだ』





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