95 隔離
声が聞こえた方をみると、輝くような緑色の髪のエルフがいた。目も緑色だ。なんだろう、光に照らされた木の葉が風を受けているように優しい感じにキラキラ輝いているようなオーラを感じる。男なのに吸い寄せられていくようだ。
「師匠、お久しぶりです。弟子のミゲル、私の弟子を紹介にまいりました」
ミゲルさんの声にハッと意識を取り戻した。
「はじめまして、ミゲル師匠の弟子、イリス・グレイシアです」
おれも続いて挨拶をしようとしたらフルーレティが話し出した。
「ミゲル、イリス・グレイシア、君たちを歓迎する。良くここまで来てくれた。今はやることがある。それが終わったらミゲルには褒美を渡そう。イリス・グレイシアには高みに登るための力を授ける。しばらくこの世界樹で待て」
あれ…?おれは無視されているのか?
「師匠、もう1人おりますので紹介致します、」
「大丈夫だ。神木涼馬だろ」
え?なんでおれの名前を知っているんだ?鑑定か?
「師匠、その通りです。ご存知でしたか」
「ああ、神木涼馬のことは良く知っている。美玲のこともな」
おれは怒りが一瞬で全身を駆け巡るのを感じるままにフルーレティに殴りかかった。
こいつの呪いが美玲を苦しめてそれを解決した直後美玲を奪ったんだ!
おれの突然の強襲にミゲルさんとイリスは固まっていた。そしてフルーレティはそのままおれに全力で右の頬を殴られた。
だけど、フルーレティは微動だにしない。逆に体勢を崩したおれをミゲルさんとイリスが取り押さえた。
「リョーマっ!気持ちはわかるけど」冷静になりなさいっ!」
イリスがそう言った直後身体が拘束された。
「リョーマ君、悪いが魔法で拘束させてもらった」
おれは拘束されたまま床に倒れた。声も出なくなった。魔法を解け!おれはフルーレティを倒して美玲を連れ帰りたいんだ!!
「ま、マスター!リョーマのしたことを謝ります!話をきいてもらえませんか!?」
「謝らなくていい。これからのことは決まっている。話はきかなくてもいい」
おれは床に転がったままフルーレティがイリス、ミゲルさん、おれに手をかざしたのを見た。手をかざされたイリスとミゲルさんが一瞬で床に沈みこんだのが見えた瞬間おれも床に沈んだ。
おれは床に落ちたようだ。一瞬の浮遊感はあったが身体には大した衝撃はこなかった。周りに人の気配が無いな。おれは隔離されたようだ。とりあえず床から立ち上がって床に当たってた身体の側面を手ではらった。あれ?身体が動く。おれは手を持ち上げて指が動くことを確認して気がついた。
「ブレスレットが無い」




