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80 ホロホロ鳥

イリスは封筒から手紙を取り出して目線を文面に落とした。


「えーと、明日の朝に神域薬術研究所の師匠の研究室で会ってくれるようだわ。研究所の門番に伝えてあるから門番が案内してくれるそうよ」


イリスがそう言って手紙を渡してきた。手紙は冒頭、「最愛の弟子イリスよ」とはじまり面会の時間と場所、方法が書かれており最後に「明日の面会楽しみにしている」と無難にしめていた。ま、弟子のイリスを溺愛しているということは冒頭でわかったがそんなに変な人では無さそうだな。


「わかった。明日の朝だね、イリスは明日の朝は大丈夫?」


「大丈夫よ。また緊急時は冒険者ギルドで購入出来ると案内を出しておくわ。あ、リョーマは夕食食べた後は時間有るわよね。今日の分のポーションまだだから1度私を連れて店に戻った時に作ってちょうだいね。その間に私が冒険者ギルドに行ってくるわ」


「ああ、わかった」


「作るのは下級治療ポーション30本、下級魔力ポーション5本、中級治療ポーション3本、中級魔力ポーション1本ね。それと時間があったら薬術師教本3のポーションも作ってみて。作り方の基本は出来ているから問題ないと思うわ」


「わかった」


そういうと、ロラが食事を持ってきてくれた。


「はいどうぞ、うちの自慢のホロホロ鳥のピリ辛煮込みと野菜スープとパンよ」


「ありがとうロラ、私このホロホロ鳥のピリ辛煮込みが大好きなの」


「そうでしょ。知ってるわよ、だからこれを作ったんだから」


「リョーマも気に入ると思うわよ。さ、食べましょう」


「うん、ホロホロ鳥っていうのははじめてだ。美味しそうだね。いただきます」


「おかわりも有るから必要なら言ってね」


そう言ってロラは戻って行った。


ホロホロ鳥のピリ辛煮込みは凄く美味しかった。


「本当に美味しいな!肉が口の中でホロホロとくずれていってまるで溶けていくみたいだ。なのに脂っこいわけでもなくて程よい旨味と辛味が食欲をそそるよ!」


「え、ええ、そうね。リョーマがそんなに気に入るとは思わなかったけど良かったわ」


地球にもホロホロ鳥って有るけど同じなのかな?残念ながら地球で食べたことが無いから比較出来ない。いつか地球でも食べてみよう。


これを食べたらイリスの店でいつものポーションを作ってから教本3のポーションか、楽しみだな。あ、そういえばポーション作成には[水魔法で生活に潤いを]みたいな雑誌は発刊されていないのかな?


「ねえイリス、ポーション作成スキルには水魔法の[水魔法で生活に潤いを]みたいな雑誌はないの?」


「あー、それはないわね。ポーション作成のスキルは魔力の質が重要な要素だからスキルオーブでも覚えられないのよ。まさに才能の欠片が必要ってことね。だから絶対的なスキル保有者数が少ないわ。そういう情報は口伝や論文を頼ることになるわね。それこそ神域薬術研究所はポーション作成の論文に関してはかなりの数を発表しているわ。その中でも師匠は群を抜いて多くの論文を出しているから薬術師の中では師匠は有名人よ」


イリスの師匠のミゲルさんは有名人なんだな。ま、とりあえず夕食食べてイリスの店に移動だな。

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