79 最愛の師匠
「ロラさんありがとうございました」
「いえ、教えてて凄く楽しかったです。こんなに早くアイスアローまで使えるようになった人を私は見たことがないですよ」
「そうなんですか?自分も夢中になって練習する程楽しかったです。それにクリーンやジェット水流、ジェットミストは日常生活でも役にたちますし長旅するには最高ですね」
「はい。お洋服はクリーンで汚れを落としてジェットミストでシワを消せば何時でも新品のようになりますからね」
「色々と便利な魔法ですね」
「はい。[水魔法で生活に潤いを]、と言う雑誌があってそこにはお教えした魔法の他にも色々と水魔法の応用的な使い方が載っているんですよ。私は発刊されたら買っているんでここにありますから手紙の返信が来るまで読んでみてはどうですか?」
「え、それは有難いです。是非お願いします」
おれとロラさんは宿の中に入った。おれはロラさんから[水魔法で生活に潤いを]の最新刊を借りて部屋に戻った。
[水魔法で生活に潤いを]を読んで他にも便利そうな水魔法を覚えていたら窓から見える景色はオレンジ色になっていた。
「あー、もう夕方か」
おれがそう呟くと、部屋の扉がノックされた。
「イリスちゃん、リョーマさん、返事の手紙がきたわよ。下で預かっているから降りてきて。それと夕食も出来ているからね」
「わかりました。すぐにいきます」
手紙の返事がきたようだ。イリスを迎えにいかないとな。おれは部屋の扉からイリスの店に転移した。
「イリス、手紙の返事がきたよ。それと夕食が出来たみたいだから宿に行こう」
「わかったわ」
イリスは手早く店じまいをした。それと店の入口にプレートをかけて急ぎのポーションは冒険者ギルドにて購入出来ると案内をだした。
おれはイリスを連れて宿に戻り食堂に入った。
「リョーマさん、イリスちゃん奥の席に座って。これが手紙よ。料理もすぐに持っていくわ」
イリスが手紙を受け取った。おれたちは言われた通り奥の席に座った。
「じゃ、少し気が進まないけど手紙を開けてみましょうか」
イリスは手紙をテーブルに置いて右手の人差し指を封蝋に当てた。
「解錠せよ、最愛の師匠ミゲル・クロテッドの封蝋よ」
イリスがそう言うと、封蝋が上下にわかれた。これは魔法の封蝋というものらしく、暗号を言いながら解錠の宣言をしないと開かないらしい。
「ほんと、このパスワードはやめて欲しいわ」
イリスの師匠はミゲルという名前なんだな。てか暗号で最愛の師匠とか言わせるとは……。どんな人なんだろう……。
「さて、なんて書いてあるかしらね」




