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76 宿

「ええ、案内はするけど、まずは宿を取りに行きましょう。一部屋でいいわね」


え?なんで?まっすぐ行かないのか?てか一部屋?イリスと同じ部屋に泊まるのか?


「イ、イリス、それはまずいよ」


さすがに同じ部屋に泊まるのはまずい


「あら?リョーマは泊まりたくないの?」


えぇー?イリス急にどうしたんだ!?


「なら私が泊まるからあなたは店番してくれるのかしら?」


ん?……あ、そういう事か。


「あ、ごめん。わかった。おれが泊まるよ」


「あら、そう。ならあなたは今夜この街の宿に泊まりなさい。今日私から師匠に手紙を出して会いたい事を伝えるわ。手紙には私がリョーマとここの宿に滞在しているって書いて置くから返事が来たら受け取ってね。私も本当は泊まりたいけど、店を放ったらかしにも出来ないから戻るわ。とりあえず、私が泊まっているようにしとかないと変だから2人で宿を取って、部屋に入ったら私を店に転移で送ってちょうだい」


「わかった」


「じゃ、行きましょ。私のおすすめの宿が有るからそこに連れていくわ」


ふうー、なんかおれが1人で勘違いしてしまって恥ずかしいな。勘違いがバレなくて良かった。


「ところで、リョーマは今どう勘違いしたのかしら?」


う、バレてる。イリスはニヤニヤしてこっちをみている。はっ、これはおれがはめられたのか。うー、だけどこれは言い返しにくい……


「え、何も勘違いしてないよー。店はイリスが居た方がお客さんも安心するだろうからねー」


「ふふっ、そうね」


イリスはそう笑ってギルドを出て行ったのでおれは後についていった。ギルドから10分位歩いたところで宿に着いたみたいだ。


「ここよ。入りましょう」


「うん」


扉を開けて入るとカウンターがすぐにみえて中には1人おばさんが居た。


「いらっしゃい。2人かい?」


「ええ、そうよ。久しぶりねロラ」


「え?……、あなたまさかイリスちゃん!?」


「そうよ、懐かしいわ」


「イリスちゃん、本当に久しぶりだわ!いつこの街に来たの?」


「ついさっき着いたばかりなの。今日の部屋を取りたいんだけど、2人部屋は空いてる?」


「え?えーー!イリスちゃん男と来たの!?こっちの人!?旦那様?」


「いえ、違うわ。私の店を手伝ってくれている人よ。師匠に会いに来たの」


「あー、そういう事ね!わかったわ、部屋は空いているわ。これが鍵ね。二階の8号室を使って」


「わかったわ。リョーマ、先に部屋に行ってて。私はロラと少し話してから行くから」


「わかった。じゃあ行ってるよ」


おれは鍵を受け取って二階の部屋に向かった。

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