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65 フルーレティ

おれがそう言うと石原さんは驚いた顔をした。何か知っているのかな?


「神木さん、教えてくれてありがとうございます。そうでしたか、フルーレティの消滅の呪いでしたか……。そして神木さんの奥様に……」


石原さんは何か考える様に言葉をつぶやいている。


「石原さん、何かご存知の事があればフルーレティについて教えてください!お願いします!」


おれはもう一度お願いした。石原さんはおれの言葉に反応した。


「あ、失礼しました。少し考え込んでしまってました。そういうことでしたらフルーレティについてお伝えします。まず、私はフルーレティが今どこに居るかは知りません。やはりイリスさんの師匠に場所をたずねるのが良いと思います。次にフルーレティ個人についてですが、彼はハイエルフです。長寿のエルフのなかでも更に長寿ですので、神木さんの奥様の前世にて面識があってもおかしくありませんね」


フルーレティはハイエルフという種族だったのか。


「そして、彼は約5千年前にリゲルで発生した異世界からの侵食からリゲルを守った者のひとりです」


「え?異世界からの侵食?それからリゲルを守った?」


「はい。世界は無数に有ります。そして世界は一定の規模でグループになっており、またそのグループも無数にあります。地球とリゲルはそのグループの中に収まるひとつの世界とも言えます。5千年前の侵食はこの地球とリゲルが収まる世界に対して別のグループの世界からの侵食でした。侵食とは世界と世界の綱引きのようなものです。何らかのきっかけでグループを超えた世界が接触した際に発生します。その時の侵食は別のグループの世界からリゲルに対して行われた異世界グループ間転移が原因でした。星一つのエネルギーを吸い尽くした生命体がそのエネルギーをその転移に使いリゲルに転移したのです。その生命体は転移により大半の力を失っておりましたので、フルーレティは仲間と共にその生命体を退け元の世界に追い返しました。その際にリゲルを除いて、地球を含めたこちらの世界の魔力をほぼ全て使い切りました。異世界グループ間転移で生じた穴をふさぐためにです。なので、通常侵食であれば綱引きになるのですが、この場合は逆にこちら側から向こう側に押し込んだ形になります。また、先程生命体を退け追い返したといいましたが、その時にその生命体に使ったのが消滅の呪いを織り込んだ魔法でした。消滅の呪いは生命体の魂魄を消滅させ二度と復活させないことを目的としております。その影響はリゲル全土に及びかねないものでしたが、フルーレティの仲間の聖女がその身を犠牲にその呪いの力がリゲルに拡がるのを防いだのです。その影響で聖女は亡くなっております。」

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