61 移動について
「イリス、それは大丈夫だよ。おれが地球からリゲルに来るのに、地球のドアとここの扉をつなげる事で移動しているのは知っているでしょ?」
「ええ、そうね。それは知っているわ。え……、もしかしてドアとか扉なら何処にでもつなげられるっていうの?」
お、正解だね。
「そう、リゲルにあるドアや扉なら何処にでもつなげられるはずだよ。ただ、基本的にはおれが1度は開いた事がある扉になるんだけど、場所の名前を宣言した後に扉を抜けることで行ったことがない場所にも移動出来るんだよ」
「……、それは凄いわね。場所の名前がわかればいいなら貴方はもう今すぐにでもアヤ山地の神域薬術研究所に行けるってことなの?」
「そうだと思うよ。ただ、今までおれはリゲルで行ったことがある場所はここかエドアルドの店しかないから実験しないとなんとも言えないかな。」
「そう言えばそうね。そしたら実験は私も手伝うわ!」
「イリス助かるよ。それにイリスの師匠に会いに行くんだからそれこそ挨拶の品物とかも準備したいからその辺も相談にのってね」
「ええ、いいわよ。なんだか楽しくなってきたわ。でもその前に、とりあえず今日の分のポーション作ってもらえるかしら?」
「わかった。それじゃ、早速作っちゃうね」
「ええよろしくね。リョーマは中級ポーションも作れるようになったんだから、治療と魔力の中級ポーションも1本ずつでいいから作ってね」
「わかった」
えーと、ということは下級治療ポーション30本と下級魔力ポーション5本、それに中級治療ポーションと中級魔力ポーションを1本ずつだな。
おれは作業部屋でポーション作りをはじめた。せっかくだからイリスに貰った杖を使おう。ネックレスを杖に変化させて左手に持つ。水樽、薬草30本、ポーション瓶30本、蓋30個、魔力棒を宙に浮かせて目の前に並べた。
ん?下級治療ポーションならまとめて出来ちゃいそうだな。とりあえずポーション瓶に水を移す。そして1本のポーション瓶に魔力棒を刺して魔力を注ぐ。魔力棒の色がちょうどいい色に変わったら今注いだ魔力量を覚えておいて残りの29本に同じ量の魔力を注いだ。うん、同じ量の魔力が入っている事が感じられる。それから30本の薬草に魔力を通して特性粒を作成してまとめて30本のポーション瓶にその薬草を入れてすぐに抜き出す。残っているのは下級治療ポーションだ。あとは蓋をまとめて閉めて出来上がりだ。
出来たな。まとめて30本の下級治療ポーション作ってしまった。かかった時間は体感で1分程。凄い楽だ。魔法使いの杖ほんと便利!
その後10分弱で他のポーションも作り終えた。
「イリス、出来たよ」
「あら、早かったわね。うーん、たしかに出来ているわね。杖を使ったようだけど使いこなせているようね」
「うん、この杖が有ると時間短縮になって助かるよ」
「そうね。ま、杖を使ってポーションを作成するには明確なイメージが必要だからね。これまで手作業でやってきた事が活きているのよ。だからこれからもたまには手作業でポーションを作ることをおすすめするわ。」
「そっか、わかった」
「ふふっ。じゃ、これが今回の分の銀貨70枚ね。早く終わったんだから実験をはじめましょうか!」




