6 才能を発揮出来るお仕事
「ま、魔法ってあるんですね...。知りませんでした...。」
冷静そうにそんな言葉が口から漏れたが、自分の心臓が大きく早く鼓動を繰り返しているのを感じる。そして鼓動が繰り返される度に心臓から何か歓びを伝えるような波が身体に伝わっていくのを感じる。おれ、凄く興奮しているみたいだ。ワクワクしている。
「はい。私の話を信じて頂けたようで良かったです。では、戻って手続きをしましょうか。もう一度この扉を抜けて戻りましょう。こちらです。」
おれは石原さんの誘導に従って先程まで居た部屋に戻ってきた。まだ心は落ち着かないままだったが、またソファーに座り正面に石原さんが腰をおろしたのを見た。目が合うと彼女は口を開いた。
「先程の続きになりますが、鑑定紙の結果にもとづいて神木さんにご紹介するお仕事を決めましょう。神木さんは、魔力操作とポーション作成の才能の欠片をお持ちですで、そちらを鍛えて才能を獲得してはいかがでしょうか?なので、薬術師さんのお手伝いをお勧めします。」
なんだか、凄く楽しそうな仕事なように感じる。お手伝いの仕事をしていく中で、おれが魔力を操作してポーションを自分でつくれるようになったりするってことだもんな。やってみたいって思える。
Wワークでコンビニ店員とか、休日にスーパーのレジ係をするなんてことも少し前までは考えていたけど、全然楽しくなさそうだと思っていた。それで、夢があって楽しそうな動画配信者とかブロガーについて調べたりしてたけど、形に出来なかった。何かをやらないと今の借金だらけで、毎月の生活費に困ってしまっているような現状を抜け出せないということが頭から離れない日々だった。
返事をしよう。
「はい。やります。」
さっきまで彼女の話を全然信じて無かった自分の口からあっさりとその言葉が出ていった。
「わかりました。神木さん、よろしくお願いします。」
その後、彼女から詳細について教えてもらっておれは才能開花サービスへの入会の手続きをしてもらった。