58 贈り物
翌朝、美玲はポーションを準備してくれた師匠に御礼がしたいと言ってきた。
「そうだね、師匠のイリスのおかげで魂魄保護ポーションを使えたし、鑑定スキルで呪いの相手がわかるようにしてくれたのもイリスだからね。あ、それとおれの副業先を紹介してくれた石原さんにも相談に乗ってもらって情報をたくさんもらったから御礼しないとだ」
美玲がこちらを見つめている。目から「じーー」と音が聴こえそうな感じだけど……
「涼馬さん、ちなみになんだけど、その師匠のイリスさんとか石原さんは女性かな?」
ニコリと微笑みながらそう質問してきた。
「え?女性だよ?」
美玲の微笑みが消えて真顔になった。
「ふーん、そうなんだー」
あれ?美玲怒ってるのか?いや、そんなことで怒るような性格じゃなかったはずだけどな。え?もしかして美玲が体調悪い時に他の女に手取り足取り腰取り……って想像したのか?それはないよっ!マジで!
「あ、あれ?怒ってたりする?」
「……ップ、ぷぷぷ…あはははは!怒ったふりでしたー!びっくりした?」
「えー!ひどいよー。急に真顔になるから少しびっくりしちゃったよ!」
いやいや、急に真顔になられるとビビるよっ!
「あはは、涼馬さんが私の知らない間に他の女性と知り合ったなんて言うから少しびっくりさせただけだよ!怒るわけないでしょー、私は涼馬さんを愛してるしね!それに涼馬さんの師匠のイリスさんと副業を紹介してくれた石原さんにはいくら感謝してもしたりない位お世話になってるしね!」
ふー、なんだ美玲のドッキリだったか。やましい気持ちが無くても妻に責められとなんだか見えない圧を加えられたみたいになるから勘弁して欲しいね。
「さ、涼馬さん御礼の贈り物買いに行きましょ!」
それからおれは美玲とデパートに贈り物を買いに行って色々悩んだ末に一人あたり1万円でお茶のセットを購入した。前に石原さんがお茶を飲んでいるところを見たことがあるし、異世界なら地球のお茶は珍しいかなと思ってだ。それとせっかくお茶があるならスイーツもあった方がいいと美玲が言うので日持ちがしそうなバームクーヘンとかの菓子も買った。
あ、道具屋のエドアルドにも何か贈ろう。思えば鑑定のスキルを身につけられたのはエドアルドのおまけのおかげだしな。ブランデーとかウィスキーが好きそうな顔してるからそれとおつまみ代わりになりそうな袋菓子とチョコたをあげよう。
よし、これは今夜感謝の気持ちを込めて3人に渡そう。




