55 魔法の実演
おれは鞄をベッドの横から持ち上げてポーションを取り出した。使うのは下級魔力ポーションと魂魄保護ポーション。魂魄保護ポーションを鑑定するとこのように表示された。
名称:魂魄保護ポーション
効果:魂魄に対する攻撃から魂魄を保護する。既に攻撃を受けている場合は魂魄への攻撃の影響を排除し、その後抵抗力を高める効果がある。
用法:通常瓶1本を1魂魄に1回使用。
注意:何度も服用しても効果は変わらない。
副作用:稀に魂魄記憶が甦る場合がある。
作成者:イリス・グレイシア
鑑定凄いな。お薬の添付文書みたいになっているね。
とりあえず下級魔力ポーションで美玲の魔力欠乏中を解除して、魂魄保護ポーションだ。おれは下級魔力ポーションを持って美玲に説明した。
「美玲、これは下級魔力ポーションだよ。美玲の身体は呪いへの抵抗のために魔力を使っていたんだけど、その魔力が尽きかけている。今の不調の原因の大半はそのせいだと思うから、これを飲んで魔力を回復してもらうよ。」
「魔力?魔力ってあの魔法使いの魔力?」
「そう、その魔力だね。魔法みてみる?」
「え?涼馬さん魔法使えるの?」
「うん、魔法って言うほど派手じゃないんだけど、魔力を使えるよ。みてて。」
おれは首元のネックレスを左手で握って杖になるように意識した。ネックレスは魔法使いの杖に変わる。
杖から魔力を流して魔力場を作る。そして、枕元に置いていたおれのスマホを浮かせて部屋の電気のスイッチの前に運ぶ。少しずつスマホをスイッチに近づけ押しつけると部屋の電気が着いた。
「え!?電気が着いた。」
美玲は電気を見上げて驚いている。
「ほら、電気のスイッチのとこ見てみて」
おれが美玲に電気のスイッチを見るように促すと、
「えっ!?スマホが浮いてる!?」
おれはスマホを操っておれと美玲の間まで運んだ。
「おれの魔力でスマホを操作して電気のスイッチを押したんだよ」
スマホをゆっくりとベッドにおろした。美玲は驚いて目をパチパチさせてスマホを見ていたが数秒して復活した。
「り、涼馬さん魔法使ってたね……」
「そ、わかった?」
「うん、わかった。てかびっくりしてるよ」
「ふふ、良かった。実はこれが出来るようになったのは今日なんだ。上手くできて良かったよ」
「そっか。魔法使いとか魔力のことはわかったよ。こんな風に見ちゃったら疑うなんてできないし。」
「わかってもらえて良かったよ。それでね、今スマホを浮かすことが出来たのは魔力を使ったからなんだけど、この力がかなり少なくなっているのが美玲の状態なんだよ。その少なくなっている魔力を補給するのにこの下級魔力ポーションを飲んで欲しいんだ」




