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51 魔法使いの杖

おれはホテルに戻って気がついた。


「あれ?イリスから受け取ったポーション一式持ってきてない」


イリスの店で気を失ってそのまま石原さんの部屋に転移したからポーション一式は部屋の隅に置いたまんまということか。今が夜の1時だから向こうは昼の1時か……。時間は平気そうだな。よし、取りに行こう。



カランカラン


「いらっしゃいませー……ってリョーマじゃない、心配したのよ!もう平気なの?」


「あ、うん元気だよ」


「よかったー、リョーマがふらっとしたと思ったら急に消えちゃったからびっくりしたのよ」


「あ、そうか、そんな風に消えちゃったんだね。おれも目が覚めたら石原さんの部屋だったからびっくりしたよ」


「そう。さっきはごめんね、リョーマに焦らないでって私が言ったのに結局無理させてしまって気絶させてしまったわ」


「あー、いいよいいよ。おれが焦ってたのは本当だし、あの時言ってくれなかったら中級魔力ポーションは成功しなかったろうからね。おかげでおれの失敗無しの記録はまだ継続しているよ。最後の10本連続はキツかったけど、もう中級魔力ポーションの作成を失敗する気がしない位にはなったしね。」


おれはそう言ってイリスに笑いかけた。イリスはさっき石原さんに、おれにちょっとイタズラしたくなったって言ってたらしいからこれくらいの軽口はいいよね。


「あら、本当に元気になっているわね。口まで威勢がいいわ」


イリスもそう言って笑った。


「ところでどうしてまた来たの?」


そうだ、ポーション一式の件を話さなきゃだな。


「気絶して石原さんの部屋に転移したから、イリスから受け取ったポーション一式を作業部屋の隅に置いたままなんだよ。それを取りに来た」


「そう言えばそうね。ちょっと待ってて今持ってきてあげるわ」


そう言ってイリスは奥にいって鞄を持ってきた。


「はいどうぞ。今夜は頑張ってね」


おれは受け取って鞄の上にある棒に気がついた。


「あれ?この棒はなに?」


「それは魔法使いの杖よ。薬術師の伝統でね、弟子が中級魔力ポーションを作ることが出来たら一人前の証として師匠から弟子へ魔法使いの杖をプレゼントするのよ。」


「おぉーー!それは嬉しい!イリスありがとう!いや、イリス師匠ありがとうございます!」


「わ、私は師匠って柄じゃ無いから師匠なんて呼ばないでっ。今まで通りイリスでいいから!」


「わかった!でも一人前の証に杖を貰えるなんて凄く嬉しいよ!」


おれは映画とかでみる魔法使いが大好きなんだ。せっかくの異世界なんだからいつかは映画みたいな魔法が使えるようになりたいと思っていた。


「気に入ってもらえたようでなによりだわ。簡単な杖の使い方を教えるわよ。杖に魔力を流すと意識したものを浮かばせることが出来るわ」


え!それって念動力か!?


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