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48 借金への恐怖

「ありがとう。次の中級魔力ポーションも教えて貰っていいかな?出来ればどんどん作ってみたいんだ。」


「そうね、それも良いけどまずは中級治療ポーションをあと9本作ってみなさい。それでも余裕が有れば中級魔力ポーションにとりかっていいと思うわよ。」


あれ?ダメなのかな?どうせなら今日のうちにレベル3のポーション作成をマスターして呪い対策のポーションを作りたいんだが。


「リョーマ、焦らないで。あなたは確かに中級治療ポーションの作成に成功したわ。けれどまだ慣れたとはいえない。中級魔力ポーションは中級治療ポーション作りに慣れてからはじめるのがセオリーなんだけど、あえて破ってみる?」


あ、なんか勢いで中級魔力ポーションも作ることが出来るって思い込んでたかもしれない。今イリスに言われた通りだな、焦っているみたいだ。あー、そうか。おれは美玲が呪われていたとしたら自分で作ったポーションで治したいと思って実力以上のことをなんの準備も無しにはじめようとしてしまったんだな。そんなことしなくても、おれはイリスからもうポーション一式を受け取っているんだ。格好つけてすぐになんでも出来るようにならなくていいんだ。あ、いや本当はそのポーション一式を受け取ったことで借金した感覚になってしまって怖くなったんだ。借金から早く解放されたくなったんだな。


「イリスごめん。落ち着いたよ。たしかにおれは今焦っていて無理に先に進もうとしていたみたいだ。」


「あら、思ったよりも物わかりがいいじゃない。こういう時は、「ああ、やってみる!おれなら出来ると思う!」とか言うものじゃないかしら?」


まあ、そういうのもいいかも知れないけどおれは慢心したり恐れたりしたまま先に進みたくないな。イリスがあと9本作って余裕が有れば作ってみた方がいいと言うならその通りなんだろう。


「ちょっと慢心してたよ。それに恐れていたってのもあるね。おれはじっくりとスキルレベルを上げていくさ。呪い対策のポーションはイリスが用意してくれたんだ。心配は無いってことを思い出したよ。」


「なんか急に悟ったようなことを言い出したわね。まあいいわ。とりあえず次の中級治療ポーションに取りかかりなさい。」


イリスが微笑みながらそう声をかけてきた。


おれはさっきまでよりもずっと落ち着いた気持ちで2本目の中級治療ポーションの作成に成功した。そして何だかんだで合計10本の中級治療ポーションを作成できた。


「まあ、落ち着いてポーション作成が出来るようになったわね。中級魔力ポーションを作るのには心を落ち着かせられないと出来ないわ。今のリョーマなら出来そうだから続けて作ってみましょうか。」


さっきまでの会話がなんだったのかというふうに、イリスはおれに中級魔力ポーション作成を提案してきた。まあ、今となったらイリスの意図もよくわかる。10本作ってみて、実際に中級治療ポーションの作成にも慣れてきた。次の段階に進める準備がおれに出来たと判断されたんだろう。


「うん。よろしくお願いします!」

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