35 薬術師と鑑定スキル
「鑑定スキルを身につけたなら薬術師としては安泰と言えるわ。素材を正確に目利き出来るんだからね。」
なるほど。たしかに各種ポーションの作成に使う素材は色々あるし、素材によっては見分けがつかない程そっくりなものも多い。素材の名称がわかるだけで間違いが減るだろうな。
「基本的な素材は冒険者ギルドや他の店で買えるけど、希少な素材は冒険者ギルドとかに依頼して個別に採取して貰うことも有るわ。そうすると冒険者が間違えた素材を持ち帰ってきたりするのよ。鑑定を持っていない薬術師は、素材に対して分析実験をしなきゃいけなくなるからその素材が正しい物でも素材の一部を失ってしまうのよ。」
なるほど。冒険者ギルドに依頼をだしたからといって、必ずしも正しい素材を持ち帰ってくる保証は無いんだな。
「ま、鑑定スキルはレアスキルだし所持している薬術師はほとんど居ないわ。リョーマも鑑定スキルを持っていることは安易に言わない方がいいから気をつけなさいよ。鑑定スキルが欲しい人間は薬術師以外の方が多いんだからね。」
「わかった。教えてくれてありがとう。」
「ま、おしゃべりはここまでね。毒消しポーションと石化治療ポーション作ってね!あ、鑑定スキル持っているならもう私が素材の準備しなくてもいいわね。素材は棚にあるから、どんどん作っちゃって。」
「わかった。はじめるよ。」
うん。鑑定スキルを手に入れて仕事がしやすくなるのは地球だけじゃ無かったな。むしろこっちで鑑定出来るとおれがやれることが格段に増えそうだ。
それから2時間かけて石化治療ポーションと毒消しポーションを50本ずつ作った。いや、昨日よりも疲れた……。今日だけでトータル135本のポーション作ってるんだもんな。おれはポーション工場か?ってくらいだ。でも我ながらレベル2のポーション作りにも慣れたと思う。後半は1分弱で1本のポーションを作っていた。ま、おれが作ったポーションがこの世界の人の役にたつならこの仕事もいいもんだけどな。
「イリス出来たよ。どっちも50本。」
「おつかれさまー。50本ずつ出来たのね。凄いじゃない。今日の分の報酬は色をつけてあげるわね。」
やった。通常なら銀貨235枚の予定だけどどれくらいになるかな。イリスはカウンターから小袋を取って戻ってきた。
「はい。金貨2枚と銀貨50枚よ。銀貨15枚分の上乗せね。」
おぉー!金貨がきたーー!てかこれで魔石を買って石原さんに換金してもらえば250万円じゃん!
「ありがとうございます!明日も頑張ります!」




