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32 原因不明の影

翌日、サラリーマンの仕事がはかどった。これまでは営業先に行っても顔の判別がつかなくて声をかけられなかった相手の名前がわかるのだ。名前さえわかれば必要な資料を持って声をかければ良い。今日はいつもよりも濃い仕事をしたので日報に書くことが多くて大変そうだ。


仕事を終えて今日泊まるホテルにチェックインして部屋に入る。とりあえず、ハンディ炊飯器で米を炊きながらレトルトカレーを温めていると嫁からメッセージが届いた。


ピコーン

『おつかれさまー。もうホテル?』


メッセージが来るのがいつもより少しはやいなと思いながら返信をかえす。


『うん。さっきチェックインしたよー。』


ピコーン

『今日病院で足みてもらったんだけど、結局まえに腰に写った影は原因不明だったよ(ショボーン)。とりあえず経過観察になったー。』


まえにMRIに写った腰から足にかけての影ね。原因不明か。


『そっかー。ほんとなんなのかな?あ、そうだ!実はおれ偶然なんだけど、鑑定っていう力を手に入れたからこれで見てみたら何かわかるかもしれないよ!』


ピコーン

『鑑定?鑑定士の資格を取ったってこと?』


『なんていうか魔法みたいな力で、集中してみた物の名称とか人の名前がわかるんだよー』


ピコーン

『涼馬さん……疲れてる?』


『何か誤解してるよね??おれは大丈夫だよー(^^)ほら、このまえにおれが持って行った薬が有るでしょ?あれを作る時のような異世界の力っていうのかな?そういうやつだよ。』


ピコーン

『あ、そうだったね。涼馬さん地球とは違うとこに仕事に行ってる(設定)だったね。』


あー、そう言えば夜に異世界でする仕事を説明した時にあんまり伝わらなかったから、そんな風な設定なんだよって丸め込んでただけだった。美玲は、おれが製薬会社勤務だからなんか特別なルートで新しい薬を貰って試していると思っているのかもしれないな。そんな違法なうえ危険なことは出来ないししないよ??けどとりあえずその設定のままでいいか。


『まあ、あまり詳しくは言えないけど何かわかるかも知れないから今度試してみよう(^^)』


ピコーン

『うーん。まあ原因不明だからなにかがわかるかもしれないなら良いかもね(*'▽'*)♪』


「うん。そうだよ!今度家に帰ったらやってみようね!」


ピコーン

『わかった!涼馬さんよろしくお願いします(´∇`)』


うん。美玲の元気も戻ってきたみたいで良かった。


『そしたらこれからご飯食べて副業してくるよ!』


ピコーン

『うん!話聞いてくれてありがとね<(_ _)>お仕事無理しないでね(ハート)。』


『うん!またねー!』


おれはご飯を食べてから準備を整えてドアを開いた。

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