24 選んだ薬
妻が選んだのは、整腸剤と鼻づまり薬と歯磨き薬だ。
「私はまずはこれかなー。高級なお肉食べるともうお腹が耐えられないからね。あと歯磨きで口をさっぱりさせたいわ。それと、まだ花粉飛んでるのかPM2.5のせいか鼻がムズムズする時もあるから鼻づまりの薬ね。」
おれも高級肉に最近すぐに負けちゃうからな。整腸剤はおれも飲みたかった。
龍翔が選んだのは、体臭剤とニキビ治療薬と除毛剤。
「サッカーしたら汗かくからこれかな。あと肉食べるとニキビ出来るかもしれないからニキビ治療薬。除毛剤はおれが試してあげるよ。」
龍翔は中1だからニキビも出来るようになったもんなー。毛が生えるのに敏感な年頃だからこれは突っ込まない方が良いな。
梨央が選んだのは、吐き気止めと虫除けとうがい薬。
「梨央は食べ過ぎたから吐き気止めにゃ。虫嫌いだから虫除けと、外から帰って来たらうがいするからうがい薬にするにゃ。」
うん。梨央は肉を早々に切り上げてデザートを3品は食べてたから良い選択だね。虫も嫌いだしね。
そしておれは、残った口臭剤と育毛剤といびき防止薬だ。というか、みんなが選ぶ前に「パパはこれだね!」って最初から割り振られてしまった。たしかにおらはいびきがうるさいタイプだよ。家の外までいびきがきこえると言われるしな……。育毛剤もね、俺しかないよね。薄くはないよ?ただ、3年前にくらべて少し毛が細くなってきた実感があるだけだから……!
「おれ口臭かったりした……?」
ときいてしまったとしても悪くないはずだ……。
「別に臭くないよー。涼馬さんは営業の仕事してるからお昼に食べた食べ物の匂いは消した方がいいでしょ?」
なるほど!そういう使い方ね!口が臭いって言われなくて良かった!
「うん。そうだね。効果あったら昼にニンニクラーメン食べてからでも営業回れるかもしれないね!」
「ま、効果あればね。これパパが作ったんでしょ?てかよくこんなの作れたね。」
「ま、才能があったんだよ。品質も問題無いって言われたから安心して使ってみてくれ。」
「ふーん。そんな才能あったなんてきいたことなかったけどなー。まあ、試しに使ってみるよ。」
「この瓶1本でだいたい1ヶ月分位だから、選んだ薬以外も気になったら分け合って使おうか。」
「じゃあ涼馬さん一緒に整腸剤飲みましょうよ。」
「お、いいね!そしたら1滴ずつ水に入れて飲もう。」
「わかった。」
妻がおれと自分のグラスの水に1滴ずつ整腸剤を入れた。
「じゃあ、一緒に飲もう。3、2、1。」
一気にグラスに半分になっていた水と整腸剤1滴を飲みほした。すると今まであった胃のあたりのむかつきがスっと消えた。
「涼馬さん。これ凄い効果あるよ。」
「だね。胃がスッキリしたね。龍翔と梨央も飲んでみな。」
そう言って龍翔と梨央のグラスに残っていた水に1滴整腸剤を入れた。2人はすぐにそれを飲むと。
「ホントじゃん。てかこれ飲んだらまだまだ食べられる気がしてきた!」
「うん!もう気持ち悪いとかなくなっちゃったにゃ!」
凄い効果のある薬みたいだ。これなら他の薬も期待出来るな。おれ達はスッキリした胃で家に帰った。




