19 異世界の文字
カランカラン
今日も頭上で音が鳴った。
「リョーマ来たわね。今日もよろしくね。」
「はい。今日もよろしくお願いします。」
おれはカウンターの奥にいるイリスに近づく。
「今日も30本はポーション作って貰うわよ。あと、それが終わったら薬術師教本1に載っている薬なら素材があるから作っても良いからね。」
「え、それは嬉しいんですがおれに作れますか?」
なんか失敗したら迷惑かけちゃいそうで心配だな。
「薬術師教本1に載っている薬はポーション作成スキルが有れば下級治療ポーションの作り方がわかってれば、本を見ながらやれば作れるわ。」
それなら作れそうだ。
「そうですか。とりあえず30本作っちゃいますね。出来たら薬術師教本1をみてみます!」
「うん。リョーマには早く中級ポーションを作れるようになってもらいたいからね。」
そっか。薬術師教本1の薬を作れるようになるとスキルレベルが上がるんだったな。
とりあえず昨日と同じ方法で下級治療ポーションを30本作った。慣れたせいか今日は少し昨日よりも早く作り終えられた気がする。元の世界に戻っても寝る時間まではまだ余裕があるから、次の薬を作る時間は有りそうだ。
「イリス、下級治療ポーション30本出来ました。」
カウンターからイリスが来た。
「お疲れ様。うん、今日も問題なく出来ているわね。はい、今日の分の銀貨。」
「ありがとうございます!」
銀貨を受け取った。30枚分の銀貨はズッシリとしている。
「じゃ、教本みて作りたい薬を決めて。決まったら素材を教えるから声かけてね。私はカウンターの方にいるから。」
イリスは出来上がったポーションを持ってカウンターに移動した。多分あの冷蔵庫の魔道具に入れるんだな。
「わかった。」
とりあえず棚から薬術師教本1を取り出してさっきポーションを作っていた作業台に持ってきた。
横にどかしていた丸椅子に座って教本を開いた。
さて、どんな薬があるかなー。
目次を見ると……読めない。いや、もう本当に読めない。てかそりゃそうか、ここは異世界だった。地球ですら何千と言う言語があるんだし当然だな。とすればなんでおれはここで普通に会話ができるんだ?ここが偶然日本語を話す国なのか?そんなわけないか。よくわからないことは後で石原さんにきいてみよう。
「イリスごめん。これ読めない。」
「え?あ、そうかリョーマ異世界人だから文字が違うのね。アヤなら何とか出来ると思うから、相談してみなさい。」
石原さんがなんとか出来るのか?異世界の辞書とか持ってるのか?まあ、きいてみるしかないか。
「わかった。そしたら今日は諦めるよ。新しい薬は明日にするよ。そしたらもう少し下級治療ポーション作るかな。」
おれは異世界の文字については石原さんにきくことにして、下級治療ポーションを10本追加で作った。その分イリスから10枚銀貨を貰って、合計40枚分の魔石をエドアルドから買って石原さんの部屋に向かった。




