13 下級治療ポーション
「説明は終わりよ。早速ポーション作ってみましょうか。」
いよいよポーション作成だな。
「了解。とりあえず水に魔力を含ませて置いておけばいいかな。」
「そうね。魔力水っていうんだけど、これは先に作って準備しておいて問題ないわ。この瓶にそこの大きな樽から水を移して、そのまま魔力を注いで。で、この棒を水に刺しておいてね。この棒は液体の含有魔力量に応じて色が変わるわ。水に触れている部分が薄い青に変われば下級治療ポーションの魔力水として合格よ。魔力水の魔力量が多ければ良いって訳では無いから気をつけてね。」
「わかった。じゃあとりあえずこの樽から水を組んで瓶に入れるっと。そして、この棒ね。」
おれは水を瓶に組んで、先程の棒を刺した。
「では、魔力を注いでみる。」
さっきの要領で身体から水に魔力を流し込む。
「お、しっかりと注げているみたいね。棒の色が青くなってきたわ。もういいわよ。」
魔力を流し込みはじめて20秒程でちょうどよく魔力が入ったみたいだ。
「これはここに置いておいてっと。次は薬草に魔力を通して魔力特性結合をさせるんでしたよね。」
「そうね。それで、さっきリョーマが薬草に魔力を通した時に薬草が緑に輝いたでしょ。実はあれが魔力特性結合している状態よ。なので、あの状態にすることが必要ね。で、魔力特性結合している状態でしばらく維持すると特性粒が出来てきて輝きが収まるわ。そしたらその薬草を魔力水に入れて。そうすると特性粒が魔力水に移動して魔力水の色が変わるわ。そうしたら出来上がりよ。」
そう言ってイリスはさっき魔力を流した薬草をおれに渡してきた。
なるほど。さっきの基本の魔力操作の練習がポーション作成の練習にもなっていたんだな。あれならさっき出来たんだから出来るな。
「はい。じゃあやってみます。」
おれは先程やったのと同じように薬草に魔力を流し込んだ。もちろんまた薬草は緑色に輝いた。
「いいわね。そのままキープして。葉の上や茎の周りに赤色の砂粒のような物が見え始めたらストップよ。」
特性粒は砂くらいの大きさになるのか。と理解していると、薬草を覆っていた光が薄くなってきた。
「はい、ストップ。」
イリスの合図でおれは魔力操作を中断した。葉の上や茎の周りには赤色の粒が見える。
「これをさっきの瓶に入れるんですね。」
「そう。全体が入るように一気に入れてすぐに引き抜いてね。あと、一応指は茎の切り口を持って、そこは瓶に入らないように気をつけて。」
おれは言われた通り、切り口を指で摘んで薬草の先端から魔力水の瓶の中に入れた。すると、それまで透明だった魔力水は薄い赤色に変わった。
「引き抜いて。」
本当に入れてすぐに抜くんだね。おれは指示を聞いてすぐに薬草を引き抜いた。
「おめでとう。これで瓶に蓋をすれば下級治療ポーションの完成よ。」
イリスはおれに蓋を渡してきたので、それを瓶につけた。やった!ポーションを作ることができた!
「リョーマ貴方凄いわ。初めてでポーション作成を成功させるなんてなかなか無いのよ。普通はポーション作成の過程のどこかで失敗するから、そこを改善していきながら最初のポーションの完成を目指すのよ。」
あ、だから基本的なポーションとはいえいきなりポーション作成に取り掛かるような練習をすることになったのか。ま、確かに効率的だったからいいか。




