11 魔力操作
「まずは基本からだけど、基本といえば魔力操作よ。これは薬草なんだけど、これに魔力を通すの。魔力が通ると魔力が通った所まで光るわ。まずは薬草全体を光らせることが出来たらいいわ。それが出来たら魔力を操作出来たことの証明になるの。」
彼女は薬草と呼んだ草をおれに渡した。
「魔力はね。どんな生き物でも持っているんだけど自在に動かせる人は多くないわ。だからあなたの魔力操作の才能の欠片はとても貴重なのよ。ほら、いきなりは難しいかもしれないけど、試しにその薬草に魔力を流してみなさい。すんなり出来るかもしれないわよ。」
「わかりました。」
おれはイリスから薬草を受け取った。そして、瞑想をするように眼を閉じて息を吐く。息を吸う時に身体に体外からエネルギーが入ってくるように意識しながら無心になる。
これは、おれが数年前に瞑想にハマっていた時にやっていたやり方だ。あの頃はタイトルに瞑想と入っている本はだいたい購入していた。その時、気功とかヒーリングとか関連書籍も読んでいた。多分それが才能の欠片になったんじゃないかと思っている。だから、魔力もその時の感覚で操作出来るんじゃないかと思ったのでやってみた。
数回その呼吸をしたところ、身体にエネルギーと呼べる何かが流れ込んだのを感じた。そして、そのエネルギーは下腹部の丹田と呼ばれる位置に集まってきた。集まったエネルギーが塊のようになった時におれは吐く息に合わせてそのエネルギーが身体を循環するイメージを想像した。するとイメージに合わせてそのエネルギーが動き出したのを感じた。はじめは吐く息とイメージに合わせてゆっくりとだったがしばらくするとスムーズに循環しだした。そろそろいいかなと感じたおれは利き手の左手にそのエネルギーが集まる様子をイメージした。そして、手の外にそのエネルギーが溢れながらも纏まり、細い線のようになって薬草の茎の切断面の導管から入り込み葉の隅々までエネルギーが行き渡っている様をイメージしながら、左手からエネルギーが薬草に流れていく感触を感じた。。
出来たかな?おれはそっと眼を開いた。すると...
「リョーマ...あんた...本当にいきなりで出来ちゃったね。なかなか良いわよ。」
イリスがそう言葉を発した。
おれの左手には、キラキラと緑の光を発している薬草が握られていた。
いやー、出来るかなとは思っていたけど本当にできたとは嬉しすぎる。
「ありがとうございます。出来て嬉しいです。」
「あなたの魔力操作の才能の欠片は絶対にスキルにまで成長したわね。流石にいきなりここまで出来るなんて思ってなかったから驚いたわ。ま、魔力操作は初めてだったんだろうから、今の感覚を忘れないようにしてもっと自在に操れるようになるように練習したらいいわ。ま、ここでの仕事をしているうちに充分身に付くと思うけどね。」
「わかりました。」
「じゃ、魔力操作のスキルは獲得出来たと思うから、次は本命のポーション作成の基本をやりましょう。」




