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101 マイナスアップル採取

かなり遅くなってしまいましたが後日談として涼馬の冒険者話を書きました(≧◡≦)あっさり淡白になっております。文章を書くリハビリと研鑽が必要と実感中です(泣)

「じゃ、リョーマよろしくね」


「わかった。とりあえず行ってくる」


 おれはイリスにそう言って店の扉をひらいた。


 扉をひらいた先はマンザーナの冒険者ギルドだ。なぜここに来たのかといえば、おれはイリスの店があるトロンハの冒険者ギルドである依頼を受けているからだ。その依頼はイリスが冒険者ギルドに発注していたマイナスアップルの採取依頼。


 元々はイリスの師匠であるミゲルさんに、おれが転移出来る事を証明するための証拠として遠く離れたトロンハのギルドの受注票を持って行くということを約束したんだ。そして、その証明は無事に成功した。


 だからそれ自体は良かったんだけど、イリスが受注票に達成のサインをくれなかった。イリスはマイナスアップルを素材にした痩せ薬を必要としていた。マイナスアップルから作ることが出来る痩せ薬はミゲルさんから貰ったのにだ。


 おれの妻の美玲と世界樹で再会してから、おれはフルーレティからブレスレット型登録証を返してもらい日本に戻って食べ物やスイーツ等を大量に世界樹に持ち込んで、今回の関係者と宴会をしたんだ。その時、おれはこの日が最高の思い出になれば良いと考えて、コンビニではなく、地元でも人気の店の料理やスイーツを購入して持ち込んだ。それが良くなかった。


 イリスは、宴会におれが持ち込んだスイーツに感動して泣いていた。最初はおれたち夫婦の再会やフルーレティとフローラの再会の話に感動しているのかと思っていたら、フルーツロールケーキの味に感動していたのだ。


 おれと美玲がテーブルに着いているイリスに目を向けた時、彼女はこちらを見つめたと思ったら弾けるような笑顔になり、左右の瞳から涙を流したんだ。そして、


「リョーマ、ミレイ。本当にありがとう。この場に居合わせられたことが私の一生の宝よ」


 と、こう言った。おれと美玲は嬉しくてイリスにどんどんとイリスが好きそうなスイーツを渡してしまった。その後、ミゲルさんと話したりフルーレティと話したりしている間にイリスは激太りしていた。


 その場でフルーレティが痩せ薬を作ってイリスに与えたら直ぐに元に戻ってたけどね。イリスはその場ではもうスイーツには手をつけなかったけど、魔法の鞄にスイーツを詰め込んでいたようで今日トロンハのイリスの店に行ったらまた激太りしたイリスに出会った。そして、今日はポーション作りじゃなくてマイナスアップルの採取に行って欲しいと懇願されたわけだ。


 とりあえず情報収集だな。おれは冒険者ギルドの受付に並んだ。そして、マイナスアップルのある場所について質問した。


「え?マイナスアップルですか?それならここの冒険者さんが採取しているんでギルドから果物屋に卸してますよ?なのでこの街の果物屋に行ってみてください。もちろん森で採取も出来ますけどね。ここではマイナスアップル採取は常時依頼なんで採取出来たら持ち込みカウンターにいらしてください」


「ありがとうございます」


 果物屋で買えるんかーい。なら買って帰ろう。その方が早いし確実だわ。


 おれはギルドを出て屋台で串焼きを1本買って果物屋の場所を教えてもらった。


「いらっしゃい」


「マイナスアップルはありますか?」


「あるよ。1個銅貨10枚だね」


 さっきの串焼きは1本銅貨2枚だからまあまあ高い果物かな?


「そしたら100個もらえますか?」


「おっ、お兄さん、ありがとうよ!100個あるぜ、銀貨10枚だけど大丈夫か?」


「はい、大丈夫ですよ。これで」


「あいよっ!」


 マイナスアップル100個をゲットしたおれはイリスの店に戻った。


 カランカラン


「リョーマ!おかえりなさい!マイナスアップルは採取できたのね!?」


「イリスただいま。採取というか果物屋にあったから買ってきたよ。はい、これね 」


 おれはブレスレットに収納していたマイナスアップルをカウンターの上に出した。


「キャー!マイナスアップルー!」


 イリスはマイナスアップルを1つ手に取り頬擦りしている。そしてそのまま作業部屋に入りすぐに出てきた。その姿は出会った時と同じ太っていないイリスだった。物凄い即効性だな。


「ふうー、助かったわ。あの姿じゃ、店を開くことも出来なくなるとこだったわ」


「そ、そうなんだ。まあ役に立てたようで良かったよ。じゃ、これにサインお願いね」


「わかったわ。依頼の数よりもかなり多く持ってきてくれたから優の評価にしておくわよ!」


「優?」


「あら、知らなかった?依頼の達成時に依頼者から評価をつけられるのよ。優、良、可、不可、失敗で評価されるの。優なら依頼者からの追加報酬を受け取れるのと、冒険者の昇級ポイントが10ポイントあたえられるわ。失敗だと罰金は有るけどポイントは0ね。ただ、失敗したからってギルドに報告しないとあとから調査されて悪質だと昇級ポイントの大幅減点になるから注意するのよ」


「へー、そうなんだ。なら優を付けてくれてありがとう。じゃあギルドに報告に行ってくるよ」


「そうね、依頼達成のスピードも昇級ポイントになるからね。まあ、マイナスアップルの採取なら受けてから今日までの日数は脅威のスピードと言えるからそのポイントも高いと思うわ。じゃ、これが追加報酬ね」


 イリスは金貨を1枚くれた。え、マンザーナの果物屋で銀貨10枚で買ったマイナスアップルに金貨1枚支払ってくれるの?10倍!?


「こんなにいいの?流石に貰いすぎじゃないかな?」


「何言ってるの?マンザーナからトロンハは遠いし、この近くでマイナスアップルは採取がほとんど出来ないから普通こんなに新鮮なものは手に入らないわ。私が痩せ薬を作ったらここでなら金貨10枚以上の利益をあげられちゃうわよ」


「そ、そんなにか。わかった、有難く受け取っておくよ。じゃ、冒険者ギルドに行ってくるよ」


 おれはトロンハのギルドに行って、依頼報告をした。そして、今回の依頼達成で相当な昇級ポイントが入ったようでBランク冒険者への昇級テストを受けるのに必要なポイントの半分位稼いでしまったようだ。


 おれ、もしかしたらポーション作るよりも転移を使えば冒険者として採取依頼を受けてた方が稼げるんじゃないか?


 今後は冒険者の仕事もやってみようかな。

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