100 再会
ついに完結です٩(ˊᗜˋ*)و応援してくれた皆様ありがとうございます!
聖女フローラ……、美玲の前世の姿か。
「フローラ、大丈夫か!?」
「フルーレティ様、私はもうダメです。最後に、リゲルにひろがりはじめている消滅の呪いを私が引き受けて逝きます……。私は、貴方様の居られるこの世界を守りたい。最後に貴方様のお役に立てるならば私が生きてきた意味が有ったと胸を張れます」
「すまない……、フローラ、我はおまえを決して忘れない。そして、必ずまた会い、今度こそは共に添い遂げよう」
フルーレティは魔法で世界樹の枝の先を切った。フルーレティの顔前に魔力球が現れ、落ちてきた枝の先の下に移動して枝の先を受けとめた。魔力球が金色に変わりフルーレティの顔前に戻ってきた。魔力球の中に液体が見える。
「フローラ、これを飲んでくれ」
「フルーレティ様、私ごときにこのような施しを……、ありがとうございます」
フローラが泣いている。魔力球から1滴の金色の液体が分離されフローラの口に滑りこんでいった。それを確認したフルーレティは先を切り落とした枝を幹から切り離した。切り離された枝は輝く緑の光に変わって消えていった。
「フローラ、我の半身が先に転生しておまえを転生を待つ。おまえがどこに転生しようと必ず見つける。切り落とした枝と転生ポーションの素材にした世界樹の枝の先はもともとは1本の枝だ。必ず引き合い再び出会えるはずだ」
「フルーレティさまぁ……。私は貴方様に出会い、これまで共に過ごすことが出来、本当に幸せ者でした……。お待ちしております。必ず私を見つけてください」
フルーレティがフローラに口ずけをした。
「ああ、約束するよ」
「フルーレティさまぁぁぁ……」
フルーレティとフローラは抱きしめ合いしばらくの時が経った。
「フルーレティ様、名残惜しくはございますが、そろそろお別れ時のようです。またお会いいたしましょう」
フローラは、そう言ってフルーレティに口付けをした後空中に浮き、世界樹から下へ降りていき、森からは突き抜けている大きな木の枝に立った。彼女が祈る姿を取った瞬間、空気中に黒い煙のようなものが現れて彼女が降り立った木に吸い込まれていった。そして、全ての煙が吸い込まれると、彼女と彼女が降り立った木は光に包まれて消えていった。
美玲の前世であるフローラの行いを見た。彼女が最後にリゲルに広がる消滅の呪いを一身に引き受けて消えた姿を。
『これが君に説明したかったことだ』
「はい。よくわかりました。私があなただということも、あなたの言葉の意味も」
『ありがとう。君には5千年もの間フローラを探し続けてもらった。その間、フローラは1度も転生しなかった。苦労をかけた』
自然とおれの眼から涙が流れた。
『君は、我の後悔の念の影響を強く受けていた。我の、フローラともっと思い出を作っていれば、フローラにもっと何か出来なかったか、と想うその想いが、君が美玲に出会ってからこれまでの散財につながったんだろう。地球では借金だらけになってしまっていたな。だが、そのおかげで君はこのリゲルに来た。そして、イリスの元で魔力に触れた。そのおかげで君と我の間にパスが出来たのだ。イリスの店ではじめてポーションを作り地球に戻った夜、君の記憶が我に流れ込んだ。我はその時から君と共に有る。実際、次に君がリゲルに来た時に切り落とした世界樹の枝が復元している。そして、今いるここはその切り落とした世界樹の枝の内部だ。ここを部屋ではなく、世界樹だと、自身の身体の一部だと感じてみろ。そうすれば、世界樹は君の想いに応える』
たしかに美玲に出会ってからは、思い出を作ること、美玲と楽しい生活を送ること、家族が出来てからは更にあらゆることを家族で体験を共有することを1番に考えていたな。美玲の体調が悪くなってからはあらゆる方法で体調を回復させることを考えて実行していた。ある意味何千年も前から自己洗脳してたんだな。ま、これまでの行いには後悔はないけどな。結果オーライだ。
世界樹を自分の身体の一部だと感じると、世界樹が想いに応えてくれる?なら、そう感じ取ろう。おれは美玲に会いたい。
この部屋の壁に眼を向ける。壁をみながら、この部屋に落ちてから持っていた警戒心を解いた。するとここが生まれ育った自宅であり、自分の理想の家のように感じてきた。身体感覚が急に広がった。おれの心が世界樹に繋がった。繋がった瞬間世界樹はおれの願いを叶えておれを移動させた。
目の前に美玲が居る。そして、その隣にはフローラも居る。
「涼馬さん!迎えに来てくれたね!」
「そりゃ、おれは美玲が居なくなったらどこにだって迎えに行くよ」
『フローラ会いたかった』
『フルーレティ様、必ず見つけてくれると信じておりました』
おれは美玲と、フルーレティはフローラと抱き合い再会を喜んだ。
その後、おれたちはミゲルさんとイリスと転移してきた大きい部屋に移動してミゲルさんとイリスとも再会した。
そこでミゲルさんとイリスに美玲を紹介して、フルーレティとおれからこれまでの経緯を話した。
「リョーマ、あなた、とんでもないわね。あなたがフルーレティ様の半身だったなんてね。けど、あなたが結局1度もポーション作成に失敗しなかった理由がわかったわ。そりゃ失敗しないわよね。これからも店の手伝いには来てくれるのよね?」
「もちろんだよ。ポーション作りは楽しいしね。地球での借金は無くなったけど、これからは未来に向けて貯金もしたいし、まだまだ家族の思い出もたくさん作りたいからね!これからもよろしく!」
完結までお付き合い頂きましてありがとうございましたm(_ _)m




