プロローグ 極道令嬢からエルフへ。
2作目のシリーズになります。
前作の「異世界に創作キャラと転生しました」と同じ世界、時間軸で50年後の設定ですが前作を読まなくても大丈夫なように書いています。
尚、作中のイラストはiPhoneアプリ「カスタムキャスト」で作者が制作したオリジナルのキャラクター画像を使用しています。
プロローグ 極道令嬢からエルフへ
「さて、こいつらどうしてやろーかな……………」
金髪緑眼のエルフ少女、リルミアはちょっと汚れてしまったメイド服をぽんぽんとはたきながら眼の前に転がっている3人のゴロツキをゴキブリでも見るようなジト目で見下ろしながら呟いた。
思わずため息が漏れる。
この異世界へと転生したのはまあいい。
だがしかし。
リルミアは機嫌が悪かった。いや、めっちゃ悪かった。
やっと見つけたバイト先のレストランで料理や他の客にイチャモンを付け、オマケに自分の尻を撫でたゴロツキにキレたリルミアはまずその腕を掴むと思いっきり頭突きをかました。
さらにひるんだ所を生前、つまり転生前に護身術として学んでいた合気道の技で投げ飛ばしたのである。
まさか一見おとなしくウェイトレスをしていた華奢で非力そうなエルフの美少女が頭突きだの投げ技だので反撃すると夢にも思ってなかったゴロツキはまともに床に叩きつけられた。
そこからはまるでハリウッド映画のような客を巻き込んでの大乱闘になりリルミアの精霊魔法とゴロツキの反撃で気づけば店は壊滅状態になっていた。
「このクソエルフがぁ!!」
「あぁ!?!?!?今なんつったお前?!?!」
転がっていた一番体格のいいゴロツキが飛び起き、ついでに近くに落ちている、ついさっきまで客用テーブルの脚だった角材を掴むとリルミアに殴りかかった。
「ちっ」
リルミアは舌打ちするととっさに自分も角材を拾う。
そして次の瞬間破壊的なバキッという大きな音がした。
他の客やこのレストランの店長も含めたみんながリルミアが角材で殴られる瞬間を想像して思わず目を逸らす。
しかし。
「が、あ………」
ゴロツキの持っていた角材が折れて床に落ちた。そして次にゆっくりとそのゴロツキは床に倒れた。
「こちとら居合抜きやってたんだ、舐めんなこの屑野郎が!!」
「おごぉっ!!!」
まるで悪役レスラーのようにリルミアは持っていた角材を肩に啖呵を切ると更に容赦なくゴロツキの股間を蹴っ飛ばしてトドメを刺した。
非常に嫌な、何かが潰れる鈍い音がした。
「ひいいい…………」
思わずタマヒュンするそこに居合わせた男性一同。
「あ………やば」
ちょっとばかりやりすぎた事に我に返るリルミア。
「リ……リルミア君?」
恐る恐る声をかける店長。
「あ……あの……店長…あ~ん、怖かったですぅ」
ぶりっ子ポーズをするリルミアだが若干の無理があった。
「くっ…くっ……」
「……く?」
冷や汗をダラダラたらすリルミア。
「クビだあああああああ!!!!店を崩壊させて何考えてんだあああああ!!!!!とっととそいつら店の外に捨ててこいっっっ!!!」
「ああああああああすいませんすいませんすいません!!!」
かくしてリルミアは就職して三日目にレストランをクビになったのである。
元々リルミアはエルフとして生を受けた訳ではない。
それが何故に金髪緑眼のエルフ少女としてこのファンタジー世界に存在しているのか。
時は1年ほど前に遡る。
リルミアは東京の高校に通うJKとして暮らしていた。
日本にいた当時の本名は「玲菜」という名前だったのだが玲菜の場合はその家柄に無視できない大きな問題があった。
それは「反社会的組織」のトップに君臨する家柄、早い話が893な家系だった。いわゆる極道令嬢というやつである。
そのおかげで学校では教師や級友からは極悪令嬢や腫れ物扱い同然の毎日を過ごしていた。
しかもたまに寄ってくる者がいると思えば虎の威を借りたいだけの小物DQN的な奴ばかり。
思春期の少女にとってはあまりにも孤独、そして不憫な高校生活であった。
そんなある日、玲菜は父親と一緒に護衛を伴って車で外出していた。
それが不幸の始まりだった。目的地である別荘に行く途中、食事をしようといつも立ち寄るレストランの駐車場でそれは起こった。
敵対する組織の待ち伏せを受けた玲菜と父親は車を降りてレストランの入口へと歩を進めた時に複数の方向から銃撃を受けたのだ。
その時、たまたまレストランから出てきた母娘連れが巻き込まれそうになった。
玲菜はとっさにその母娘を突き飛ばして地面に倒したのである。
幸いにも母娘は無事だった。しかし玲菜は父親もろとも射殺されたのである。
そして。
天界でシリカと名乗る転生・転移担当の女神に会った。
玲菜自身に落ち度のある死に方では無かったし、死後の魂の行方をどうするか決める事になった。
玲菜は生前、襲いかかってきた鉄砲玉を護身術で半殺しにした事はあるものの自分の命を守るための正当防衛であったし、日常の暮らしで素行不良だったわけではなかった。
少なくとも降りかかる火の粉を払う時以外は出来る限りごく普通に暮らし、少なくとも玲菜自身は他人に迷惑をかける事もないよう心がけて過ごしていた。
なにしろ玲菜の父親自身がせめて娘にはまっとうな人生を歩んでもらいたいと切実に思っていたからである。
そこで玲菜は時間はかかるものの輪廻転生をするか、それとも異世界で完全な別人として新しい人生を歩むかの二択を選ぶ事となった。
「で、玲菜さんはどうしますか?」
「うーん、転生ってそもそもどんな条件なんです?ラノベみたいに転生先で魔王を倒してくれ的な面倒事は避けたいんですけど…ってか今度こそ普通の人生過ごしたいんだけど」
「世界を滅ぼすような魔王はいませんけど基本的に剣と魔法と銃の世界ですから充分に身を守れる能力はお付けしますよ?」
「異世界ねえ……あまり治安がよろしくはなさそうな気が」
「確かに日本ほど良くは無いですが…でも日本の治安と比較するのは無理がありますよ、今の地球世界でも日本の治安が異常に良いんですから」
「その治安が良い日本で私は射殺されたんだけど」
「う………あ、あともう一つ特典が玲菜さんには付きますよ?」
「特典?」
「玲菜さんは最期に無関係な母娘の命を身を挺して守るという大きな善行をしています、
それを鑑みて第二の人生を快適に過ごす為に能力値ボーナスが大幅に付与される事が決定していますから損はないかと」
「能力値が通常より上乗せされる、と?」
シリカは頷きながらぺらぺらと書類の束をめくって確認する。
「この項目ですね、わかりやすく例えると「ゲームのキャラ作成のダイスを全部最高値にして更に最高ランクボーナスと特殊スキルが追加される」のと似たような感じですね」
悪くない、いや破格の条件と言っていいだろう。
能力が高ければ何か面倒事があってもそれを排除して普通の人生を過ごせそうな気はする。
「一応聞きますけど今の日本での輪廻転生はできないんですか?」
「不可能ではないですよ、ただ……」
「ただ?」
「現世に未練があるならそっちの輪廻転生もできますが転生できるまでの待ち時間が150年ほどかかりますからあまりおすすめできないんですよ」
「え?なんでそんなに待ち時間が?」
「ええとですね、輪廻転生するには転生する依代となる赤ちゃんが産まれなければ不可能なんです」
「なるほど」
「これが出生数の多い昭和のベビーブームの頃とかであれば問題ないのですが……今は少子化で依代たる新たな生命の絶対数が足りないんです、つまりその順番待ちですね」
「………こんな事で少子化問題の割を食うとは思わなかったわ」
「納得して頂けたようでなによりです、まあそんな理由でおすすめ出来るのが異世界の転生という訳なんです」
うーむ、条件は良さげなんだけど転生先でどうなるかが問題だよなと玲菜は考えこんだ。
「納得はできたけどちょっと考えさせて……異世界でどう生まれ変わるの私」
「大きく分けて三種類ですね」
「三種類?」
「はい、ひとつめは今話したのとほぼ同じように赤ちゃんから産まれ直して人生やり直しコース」
「うん」
「ふたつめは現状の身体のまま現地の私の神殿で転生コース、例えば玲菜さんならその17才の身体のまま神殿にここから転送という形になります」
「ほうほう」
「みっつめは他の種族の身体を依り代に私の神殿で転生、ですね」
「ちょっと待って何、他種族って」
「つまりですね、人間以外の種族の身体に玲菜さんの魂を入れての転生ということになりますね」
「それって人外って事なんじゃ……?」
オークとかスライムとかだったらやだなーと思わず考える。
「確かに人外には違いないですが今ならエルフの少女の身体で転生出来ますから一応見てみますか?」
「エルフ?!エルフがいる異世界なの?!」
「はい、他にはドワーフやサキュバス、吸血鬼、獣人も可能ですが」
「え?マジで?ちょっとそのエルフ見せて!!」
「え?ええどうぞ…エルフで転生する場合はこのような容姿で肉体を再構成して転生することになりますね」
シリカが両掌の上に映像を出した。
そこにはエルフだけあってアイドル級、いやそれ以上の美少女のエルフの肖像が映しだされた。
「うわ、金髪緑眼で可愛い………」
これならいいんじゃないだろうか。
一瞬そんなことを考える。
そしてこれまでの決して永かったとは言えない玲菜としての人生を振り返る。
玲菜は極道令嬢というその生まれ故に思春期なのに近寄る者もおらず、友人に恵まれる事がなかった。
人間関係ではかなり不幸な人生だったと言っていいだろう。
そして今ならば通常よりも能力値を割増した条件で転生できる申請が通っている。
それならこれまでと全く違う人生を異世界で再スタートして謳歌するのも悪くない。
しかもアイドルを超えるレベルの美少女エルフの身体である。
よし決めた。
新しい世界で今度こそ普通の人生をやり直そう。
「玲菜さん、どうしますか?」
「決めた。このエルフの身体で異世界行きお願い」
「わかりました、エルフの身体ですから魔力と敏捷度、あと通常視力と夜間視力がかなり高くなりますよ、じゃあこれで転生させますね」
「特殊スキルってのは何があるの?」
「今お付け出来るのは全ての言語及び基礎知識習得、魔法耐性、状態異常無効化、、後は敏捷度とそれに比例した動体視力ですから役に立ちますよ」
「うん、じゃあそれでお願い」
「はい、承りました」
「あ、大事な事聞き忘れてたわ」
「何でしょうか?私にわかる事ならお答えしますが」
「父はどうなったの?文字通りヤクザで世間に迷惑かけっぱなしのどうしようもない人だけどやはり気になるから」
「それなら重傷を負ってICUに搬送されましたが生きてますよ」
「そう、それならよかった…のかな世間的に。まあそれならいいか」
このようにして玲菜の異世界行きは決定した。
女神シリカ曰く「せっかく転生するのだから異世界で改めて人生を全うしてくださいね」と。
その結果。
日本での人生に多少の未練はあったし残った家族がどうなるのか気になってはいたものの玲菜は無事に異世界転生を果たした。
かくして玲菜は転生先として運河の多さ故に「水路の街」の異名を持つアクアフィールドという港湾都市の神殿に転生する事になったのである。
新作の連載を始めました!
次回は14日水曜日に更新する予定です。
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しばらくは土曜日と水曜日に最新話の更新をする予定です。
こちらと世界やキャラクターの一部が重なっている前作「異世界に創作キャラと転生しました。」もよろしくお願い致しますm(_ _)m!
以前某動画サイトにて作ってみた動画の無断転載をされた事がありその自衛措置として下記を決めました。当然、問題視された「漫画村」のような方法も一切駄目です。
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