ニャ×5
少しばかり長くなってしまって、話が進むわけでもありませんが、戦いの結果は!?!?
的な感じで、よろしくですww
危ないっ!!!
咄嗟にベルミンはつい先ほどまで敵だと見なしていた相手を自らの胸の中にギュッと抱きしめていた。
ドンッ!
後先考えず両手を伸ばし、思いっきり飛び出したせいで、ベルミンはヴォルを抱いたまま背中から床に落ちた。
大きく開いていたピアノの天板はベルミンが床に落ちると同時に大きな音を立てて閉まった。
しばらくの間、ピアノの残響に硬直するベルミンとヴォルト。
なんだ! 今の音は!!? それに、身体が何かに押し付けられていて身動きが取れない!
一体何が起きたんだ!?
ヴォルトの閉ざされた視界は、彼に混乱を与えるばかりである。
一方ベルミンは咄嗟の事だったため、余計に身を硬直させていたが、次第にピアノの残響が薄れてていくと、深いため息を漏らしながらりきませていた力を解いていった。
「ピアノの天板を支える柱を蹴るだなんて、そんな事思いもしなかったよ。ふふ、なんだかおかしくなってきたよ」
身体を起こしながら膝の上にヴォルトを乗せるベルミン。ヴォルトはベルミンの言葉を聞いても意味がわからない様子だ。しかし、自分がベルミンに捕獲されているという状況は何となく理解した。
いつのまにか俺はベルミンに捕まってしまったのか。先程の大きな音といいピアノはもしやベルミンの仲間であったのか?
全く検討違いな事を考えているヴォルト。もはやベルミンからは逃げられまいと観念したのかベルミンの膝の上で大人しくしている。
「なぁ、ヴォル」
ベルミンが何か俺に言いたそうだ。そう言えばベルミンの声はこんなに優しかっただろうか?
もっと尖ってて迫り来る様な声だったと思うんだが…
この時ヴォルトが感じた違和感は、間違ってはいなかった。確かに、ヴォルトに対するベルミンの想いは変化していたのだ。それはベルミンがヴォルトを胸にギュッと抱きしめた時。いや、ヴォルトの危機に手を伸ばして助けようと動き出した瞬間であろう。
ヴォルの事は仕事の邪魔しかしないし、ご主人がいる時は猫かぶるし、今まで本当に嫌いだった…
嫌いだったけど!!
ヴォルトに死んで欲しくないと思った。
「私… ヴォルの事あんまり嫌いじゃないのかも」
突然のベルミンのカミングアウトに唖然とするヴォルト。
あんなに俺を追いかけ回していたくせに何を言っているんだ?
ベルミンは話し続ける。
「私ね、ヴォルと屋敷中走り回ったりするの、結構楽しかったんだー! 毎日朝から晩まで働いてるばっかりじゃ疲れちゃうから… だからね、ヴォル… ……ありがとう」
ベルミンはそう言ってヴォルトを縛っていた手拭いを外した。そう、ベルミンは気付いたのだ。変わり映えのしない日常は彼女にとって、とてつもなくつまらない時間だった。しかしヴォルトとの時間は唯一ベルミンが何に縛られる事なく時間を楽しめる癒しだったのだ。
「あ、でもあんまり私の仕事に迷惑かけると捕まえちゃうからね! 覚悟しなさいよ」
覚悟しなさいよと言うものの、その表情は和かだった。
視界が開けたヴォルトはベルミンのその表情をしかと見ていた。その時、言葉だけでは伝わりきれないベルミンの想いをヴォルトはすくいとった。
「ニャァオ…」
ただ一言声を出したヴォルト。
「何ー? それはイエスなのかノーなのか… 多分イエスかな? これからもよろしく! ヴォル」
ヴォルトは直ぐにはベルミンの膝から退こうとはしなかった。そんなヴォルトの頭を優しく撫でるベルミン。
「ヴォルったら、まだ身体乾いてないじゃない」
ベルミンは手拭いでヴォルトの身体を丁寧に拭いていった。その間、ヴォルトは暴れる事もなく、むしろ心地よさげに身を任せていた。
「はい! これで乾いたんじゃない?」
「ニャオ」
「ありがとうって言ったのかな? どういたしまして! …ってあれ? どこ行くのヴォル?」
おもむろにベルミンの膝から降りて歩き出すヴォルト。
ベルミン、私はお前の苦労も辛い想いも知らずに己のみの気持ちの高ぶりで迷惑をかけていたな。ご主人様の前では自分を出すことは出来ない俺。俺とベルミンは日常を退屈してた。似た者同士だな… まったく。
ヴォルトはそのままピアノの方へ行くとチラリとベルミンの方を向いた。
「ンニャ」
「来いって言ってるの? ピアノは危ないよ」
不安になるベルミン。
ベルミン、俺はこのピアノが出す声が好きなんだ。ベルミンが私を受け入れてくれたのなら、私もまたベルミンを受け入れよう!
そしてこのピアノの声と共に踊ろうではないか!!
そう言うと、ヴォルトはピアノの鍵盤に足を置いて一音ずつ音を出していった。
ベルミンは鍵盤を歩き出したヴォルトに初めこそ驚きはあったものの、それがいたずらをしている風には見えなかった。
「ヴォルはピアノが弾けるんだね。何か心踊る様な音楽、奏でてみせてっ!!」
ベルミンの言葉を聞いて、堰を切ったようにヴォルトの動きは激しくなっていく。一音ずつだったものが、2つ3つと増えていき次第にそれは和音となりいくつかの旋律となった。
「ヴォル凄い! 本当に音楽になってるよ! それになんだかピアノの上で踊ってるみたい」
座っていたベルミンは立ち上がると、ヴォルトの踊る旋律に合わせてステップを踏み始めた。
ヴォルトの音楽とベルミンのステップがお互いを確かめながら勢いよく心弾む旋律へと昇華していった。それはまさに互いの心が通いあう瞬間だった。
どれくらい時が過ぎただろう。時間も忘れて踊り続けたヴォルトとベルミンは午後の暖かさに汗をびっしょりかいてクタクタになっていた。
「はぁ、はぁ、はぁ… ふぅ〜! 楽しかったー!ヴォルの音楽最高だよっ!」
「ニャァア! ニャァ、ニャァ…」
「あはは、ヴォルも流石に疲れてるね。私もはしゃぎ過ぎちゃった」
私としたことが、いくら楽しかったとはいえ体力が尽きるまでやり続けるとは…。
それまで私を一心不乱にさせたのだ。ベルミンは。
疲れ切っている様子のベルミンを見ていると急に右手を上げてハイッ!と声を出した。
「ねぇねぇ、ヴォル。さっき流れてた音楽! 曲名考えた! えっとね… 呑みワルツ!!」
ノミワルツ?? …はてさてどう言う意味だろうか。しかしながら悪い名前でもなさそうだ。
ベルミンが考えてくれたのだからこれでよしとしよう。
「またご主人様がいない時は一緒に踊ろうね!」
「ニャァゴ」
「はぁ、なんだか今日は天気が良いからあったかくて眠くなってきた。んー、……。 。。」
今は2時を回った頃だろうか。暖かいから少々私も眠くなってきてしまった。
ベルミンの方を見ると… 既にソファで眠りについていた。外から吹く風が、ヴォルトの耳の横を抜けてベルミンの前髪を撫でた。
ヴォルトは少しだけベルミンの寝顔を眺めていた。
数時間前まで睨み合っていたというのに、そうも簡単に相手に寝顔を見せるなんて…
中々肝の座った女だ。
午後にしか現れない陽気な流れが、ベルミンとベルミンのそばで同じく寝ているヴォルトを優しく包んでいた。
しばらく経って、まだ寝ていたいと嘆く眼をこすりながら2人が起きたのは日が落ちて肌寒い頃ではなく、意外にも3時過ぎだった。
彼らが起きた理由は一階からものすごい音が聞こえたからである。そして次に聞こえてきた叫び声によって彼らは飛び上がるのであった。
夜まで帰らないと言って出て言った方がなぜか、絶叫してこの時間に帰ってきた!
読んでいただいてありがとうございます!
本日も読みにくさMAX自己満でしたねーw
感想コメントの方お待ちしております!




