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魔法少女をあきらめない! ~筋肉神に愛された少女~  作者: ぽんこつ少尉@『転ショタ3巻/コミカライズ3巻発売中』
第四章

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第41話 女剣士は真実を見抜く

交換日記[魔法神]


やれやれ、これだから脳筋は……大胸筋とお乳を一緒にしてはいけませんぞ。

大胸筋は気持ちの悪きもの、お乳は愛でるものですぞ?

 アルタイルに何をしにきたのか、アデリナの問いに、三人のアマゾネスたちは面食らった様子でした。


「おまえたちは最初、馬と荷物は返してもいいと言った」

「ああ、言ったね。鎧竜以外は魔王様の命令じゃないからね」


 アデリナがうなずきます。


「つまりそれは、馬を失ってもアラドニアに帰る手段があるということだ」

「……ああ~……まあね……」


 わたしは尋ねます。


「飛空挺でしょうか。もしもそうなら、わたしたちものせて欲しいのですが」


 アマゾネスの赤髪ねーさんが、あからさまに顔を歪めました。


「あんなもんに誰がのるもんかっ。ワイバーンに決まってんだろっ」


 アデリナが眉をひそめます。


「ずいぶんと飛空挺を嫌っているんだな」

「飛空挺だけじゃない。魔導技術(テクノロジー)すべてだ。あんなもの――ッ」


 赤髪ねーさんはそこまで呟き、口をつぐみました。しばらく待ちましたが、その先を言うつもりはないようです。


「まあいい。あたしが聞きたいのはそこじゃあない。おまえたちにワイバーンがいるなら、なぜ鎧竜の子を連れてすぐにでもアラドニアに帰らなかった? アルタイルにはなんの用事で立ち寄ったんだ?」

「ふん! そんなもん、気まぐれに決まってんだろ」


 赤髪ねーさんが鼻を鳴らして高圧的に吐き捨てました。


 わたしには別におかしなことを言っているようには思えません。常闇の眷属であろうと、旅行くらいはしたいでしょう。おいしい食べ物だってあるかもしれません。猫が好きなのかもしれません。


 けれどもアデリナは、そうは考えていないようです。


「…………写本か?」


 一言。たったの一言でした。

 あきらかに空気が変わったように感じました。


 それまで何を尋ねても、なんらかの返答をしていた赤髪ねーさんが、唇を震わせたのです。ほんの一瞬ですが、目を逸らして。


 待っていても言葉は返ってきませんでした。

 わたしはアデリナに尋ねます。


「アデリナ、写本ってアルタイルの図書館にあるっていう黒の石盤遺跡の写本のことですか?」

「ああ。魔王は黒の石盤遺跡に記されていた魔導技術(テクノロジー)を封印した張本人だ。その技術に繋がる写本が残っていては何かと都合が悪いのかもしれない。記されているのは、魔王を倒せるほどの魔術か、もしくはもっと別の何か――」

「やめろ! おまえたちが石盤遺跡の写本の知識に触れるようであれば、ボクらだけじゃない。魔王様が必ずおまえたちを殺しにくる。いいか、これは警告だ。石盤遺跡の写本には決して触れるな。……必ず後悔するぞ」


 再び剣呑な雰囲気になってしまいました。

 アデリナは一人、どこ吹く風ですが。こういうところ、すごいなあと思います。


 そのときです。笛の音とともに数十名もの武装した衛兵たちが、アルタイルの街中からこちらに向かって走ってきたのは。

 わたしとアデリナが彼らに視線を取られた一瞬の隙を衝いて、アマゾネスたちは牧草地の方角へと逃げ出してしまいました。

 赤髪ねーさんが逃げながら振り返り、もう一度わたしたちに怒鳴ります。


「いいか、絶対だ! 写本には近づくなよ!」


 う~ん……。

 これは逆に写本を見てくださいというフリでしょうか? まあ、見ますけどね。わたしが魔術師になれる可能性のある唯一の方法なんですから。


 アデリナがため息交じりに呟きます。


「まったく。鈍くさい衛兵だ。魔法で監視していたはずなのに、これほど来るのが遅いとは」

「ですねえ」


 衛兵たちはアマゾネスを追うことはなく、なぜかわたしたちを取り囲み、槍の穂先を突きつけてきました。みなさん、衛兵というよりは軽装の騎士のような姿をしていらっしゃいます。


「女二人、こいつらだ!」

「我々はアルタイルを防衛する聖堂騎士団だ!」

「おとなしくしろ! 抵抗はするな!」


 わけがわかりません。

 あれよあれよという間に、わたしたちは後ろ手に縛られてしまいました。アデリナに至っては、背中のドラゴンスレイヤーまで取り上げられる始末です。


「え? え?」

「む……どういうことだ、これは? 説明しろ!」


 もちろん、縄程度のものでしたらいつでも引き千切ることはできますが。


「来い!」

「だからなんで!」

「黙れ」


 アデリナが不快そうに聞き返すと、聖堂騎士はただ彼女の背中を乱暴に押して、アルタイルの街へと向けて歩かせました。


「おいおまえ、質問にはこたえなくていいが、あたしたちの荷物はできるだけ丁寧に運べ!」


 そう、そうです。

 わたしのリュックには、ナマニクさんが入っているのだから。


「それと、その剣に傷一つでもつけてみろ。おまえたちを斬り刻んでやる」


 や、ドラスレ(そっち)は別にどうなってもいいです。


「わかっている! まったく、口の悪い女だ!」


 聖堂騎士の一人が、わたしのリュックを無造作に拾い上げ、驚愕に目を見開きました。


「お、おい! これ……鎧竜じゃないのか……」

「なんだと――っ!? と、とにかく大神官様に判断を仰がないと」


 大神官……?

 なんにせよ、ナマニクさんの安全は最優先です。


「お願い、その子を傷つけないでください! まだ子供なんです!」

「黙って歩け!」


 聖堂騎士の一人がわたしの背中を乱暴に突くと、アデリナがあからさまに舌打ちをしました。

 わたしはアデリナの隣を行きながら、目配せをします。


 ――逃げますか?


 お尋ね者になると、図書館にある写本の閲覧ができなくなってしまうので気は進みませんが、正直、逃走はいつでも可能です。縄を引き千切って聖堂騎士を張り倒せばそれで済む話なのですから。

 しかしアデリナは小さく首を左右に振りました。


「おい、何をこそこそ話している!」

「うるさいぞ。何も話してなどいない。それより荷物の件は聞こえていたのだろうな」

「わかっている!」


 騎士の一人が重そうにアデリナのドラゴンスレイヤーを担ぎ、別の方がわたしのリュックを両手で抱えるようにして歩きます。


 もう何が何やらわかりません。

 あのアマゾネスさんたちが騒乱罪か何かで逮捕されるならわかるのですが、聖堂騎士たちはあきらかにわたしたちのほうを優先したように見えました。完全に逃げ切ったとはいえない彼女らを、追いかけようとさえしなかったのですから。


 それに開口一番「女二人、こいつらだ」とたしかに言っていました。

 誰かと間違われているとは思うのですが、今は聞く耳持っていただけそうにありません。

 ああ、短期間に二度も誰かに捕まってしまうだなんて、正義の魔法少女としてはお恥ずかしい限りです。



交換日記[アデリナ・リオカルト]


できるだけ無様にハゲて死ね。

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