第4話 取るべき距離
「なぁ、あれからどれくらいになる〜?」
「・・・1週間くらいじゃないか?」
「もうそんなに経ったかぁ〜・・・なんか最近面白くないんだよね〜」
「そうだな・・・」
俺の隣でナオトとショウが好き勝手にほざいてやがる。ついさっきまで違う話題で盛り上がってたじゃないか。
「で、ユキ。お前はどれくらい会ってないんだ?」
「ん?お前と同じ」
ナオトの質問にそっけなくかえす。
「は?お前、もしかしてまだ謝ってないのか!?」
「ん?あぁ、そうだな・・・」
「おぃ!!!!」
「なんだ?」
「なんだ?じゃねぇだろ!!!なんで謝ってないんだよッ!!!」
「・・・会ってないから」
「じゃぁなんで謝りに行かないんだよッ!!!」
「ちょっと待て、なんでお前が熱くなってんだよ?」
「おま・・・謝るって言ってたじゃないか・・・」
いくらか冷静になったナオトが聞いてくる。
「そうだな。ただ、青葉が俺のこと嫌いになったんならこれ以上波風立てない為にも今のままがいいんじゃないのか?」
「・・・本気で言ってんのか?」
「本気も何も、この状況で俺にどうしろって言うんだよ?君の事好きにはなれないけどって言って謝りに行くのか?キライな俺に会う事もなくてホッとしてるかもしれないだろ?」
「おぃ!!!」
いきなりナオトは立ち上がり胸倉を掴んで来た。
「お前、香織ちゃんの気持ち考えた事あるのか!?あの子本気だったぞ!?例えあの事で嫌われたんだとしてもきちんと謝るべきだろッ!?」
「じゃあお前は俺のこと考えた事があるのかよッ!?」
「・・・・・ッ!?」
「・・・・・」
「「・・・・・」」
「はいはい、ナオトもそれくらいにしろ。みんなもごめんねぇ〜なんでもないから♪」
シンと静まり返っていた教室で一番に口を開いたのはショウだ。ナオトの手を俺の胸倉からどかし、教室で事の成り行きを唖然として見ていたクラスメートにも軽く謝るとクラスメートたちも安心したのか教室中が元の喧騒へと戻った。
「・・・・・」
「・・・・・」
「はぁ〜悪い。ちょっと待ってろ」
まだ睨みあってる二人にため息をつくとショウはそう言って席を立ち、少し離れた所で電話をかけ始めた。
「・・・・・」
「・・・・・」
「悪い。ちょっとやりすぎた・・・」
「いや・・・」
この間数秒、程なくして重い空気を打ち破るかのようにショウが帰ってきた。右手に持った携帯電話はまだ通じているようで、一言二言話すとその携帯電話を俺に突き出してくる。
「?」
「はい、悪いがちょっと出てくれ」
「???」
わけも分からず俺は携帯を耳に当てた。
「もしもし?」
「ッ!?」
その瞬間息を呑むような気配がし、電話が切れた。
――――プーッ、プーッ、プーッ、プーッ
(なんだ???)
「・・・切れたけど、いったいなんだったんだ?」
「そうか・・・」
眉間に皺をよせたような表情をし、ショウは残念そうにつぶやいた。
「???」
「ショウ???」
俺もナオトも、ショウが何をしたかったのか全く分からなかった。
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次回予告
第5話 私の初恋
でもこの時、はっきりと気付いた。私、サオちゃんのお兄さんの事が・・・