第11話 ホームラン!
「ねぇねぇ香織ちゃん!近くに遊ぶところってないの?」
3日目の朝食後、これから何をして遊ぼうかと話している時にナオトが香織に聞いた。
「遊ぶところですか? う〜ん、近くても送迎の車がありませんし、歩いて行くのは大変ですよ?」
「そっか〜やっぱり無理か」
「別にそんなのいいだろ?昨日周りを歩いてみたけど、この家の敷地内にいろいろあるっぽいぞ?」
そう言ったのはショウ。俺たちの知らないうちに別荘の中を散歩していたらしい。一瞬誘ってくれよ!とも思ったが、一昨日の俺はヘリに乗って失神し、買い出しで燃え尽きて使い物にならなかった。そして昨日は全身筋肉痛。これは仕方ないかもしれない。ていうか、ナオトは昨日何してたんだ?
「そうなのか!?で、何があるんだ?」
この質問には再びこの別荘の持ち主である香織が答えた。
「そうですね〜テニスコートとかありますよ?」
「テニス・・・俺した事な。簡単なの?」
「ラケットでボールを打つだけですから。野球よりも簡単に当たると思いますよ?」
「よし、今日はテニスやるぞ!」
「おぃ、他のもあるんだし勝手に・・・」
同じくテニスをやったことがない俺が反対しようする。
「それじゃ今日はテニスですね!」
「よし!罰ゲーム決めるぞぉ〜!」
「おぃ・・・」
こうして俺の言葉は聞こえなかったものとされ、テニスをする事が決まった。
つーか、罰ゲームって初めてテニスするくせにどこからそんな自信が出てくるんだ?
「おぃナオト!思いっきり振り回すバカがどこにいるんだ!!!」
俺が怒鳴るようにナオトの打った球はテニスコートを囲んでいるフェンスを軽く飛び越え、今日何度目か分からない場外ホームランになった。
「悪い悪い。思いっきり打った方が気持ち良くてな♪」
「お前、これじゃ試合にならんだろ・・・」
「まぁまぁ、てことでユキまた頼むわ」
「はぃはぃ、つーか予め外にいた方がいいんじゃないかって思いはじめた・・・」
そう言いながら俺は再びナオトが放ったホームランボールを探しに行った。つーか、探す俺の見にもなって欲しい。大変なんだぞ?
結局、総当たり戦をして優勝香織、準優勝ショウ、3位梓織、全敗で断トツ最下位はナオトだった。
「だ、誰だよ。テニスは野球よりも簡単だって言ったヤツは・・・」
「はい!私です♪」
完全に愚痴りモードに入ったナオトに香織が笑顔で答える。いや、そこは元気に答える場面じゃねぇぞ?
「あれだけホームラン打ってたら勝てないよね。安藤くん罰ゲームがんばってね♪」
梓織のトドメとも言える一言でナオトは完全に沈黙した。
罰ゲーム・・・自業自得だな。
次回予告
第12話 勇気と無謀
諸君!これより我々は玉砕を覚悟で任務にあたる事になる!