第10話 西洋の城!?
「ここは日本・・・だよね?」
「多分。俺も自信がなくなってきた・・・」
「これ、お城?」
「いや・・・どうかな?」
「あ、俺こんなラブホ見たことあるかも!」
「「「「それは絶対違う!!!」」」」
4人の見事な連携のツッコミを全身に浴び悶絶するナオト。
俺たちは青葉の別荘を見上げて唖然としていた。
そもそも香織が「私の別荘です」って言ったから別荘だと認識しているだけで、西洋の城だと言われた方がしっくりくるほどだ。
「ここでみなさんに残念なお知らせがありまぁ〜っす!」
唖然としている俺たち5人に向かってこの別荘の所有者であるお嬢様が場違いのような声を上げた。
「「「「「???」」」」」
「実は、お部屋は管理人さんにお掃除とかして貰ってて完璧なんですが〜食料を買って来るのを忘れちゃいました!!!」
「は?」
「だから、これから買いに行かなくてはいけません!」
「「「「「・・・・・」」」」」
今度は違った意味で香織以外の一同は唖然となる。そして、その困難なミッションを考えて青ざめた。そう、さっき俺たちの目の前で俺たちが乗ってきたヘリは帰っていった。いつもこの別荘を管理しているという管理人さんには休暇を与えたらしくここにはいない。今この場にいるのは俺たち6人だけという事になる。そしてこの玄関(?)から門まですら1キロはあろうかという上に、この別荘の周りには肉眼では何も見えない。
「一応確認するが・・・ここから一番近い店までどれくらいかかるんだ?」
「ん〜・・・1時間・・・2時間もあればいけると思いますよ? これからいけばギリギリって所でしょうか」
「「「「「・・・・・」」」」」
「お、そうだ!電話してさっきのヘリにもう一度来てもらうってのはどうだ?」
一同の沈黙を破ってさも名案だとばかりにナオトが提案する。
「いえ、もう今頃はお父様たちが移動に使っているはずです。どこに行くのかは知りませんが、無理ですね」
「「「「「・・・・・」」」」」
こうしてじゃんけんに負けた俺とナオトと沙織の3人が食料買出しの旅に赴く事になった。
5時間後、案内役がいない為道に迷い、帰りは数日分の荷物を持ちながらの行軍に予定時間を1時間もオーバーした俺たち3人は重い足を引きずりながら別荘にたどり着いた。
「づ〜が〜れ〜だぁ〜!!!」
「おそかったですね〜」
キッチンに倒れこむように荷物を置く俺たち3人に香織は何の労りもなくおっしゃる・・・さすがはお嬢さま。 つーか、お前『庶民派』とか言ってなかったっけ?
「オメー全然地図あってねぇ〜じゃないかよ!」
「えぇ〜地図見間違えたんじゃないですかぁ〜?」
「とりあえず、殴っていい??」
「暴力反対!うぅ・・・」
はぁ〜・・・泣き真似で逃げられた。
「つーわけで、飯の支度は留守番組でどうにかしてくれ〜」
「はぁ〜い! わかりました♪」
「ゲンキンなや・・・」
「何かいいました?」
「ぃぃぇ・・・」
こうして夜は更けて行くのであった・・・
ちなみに次の日、全身筋肉痛で遊ぶどころじゃなかったのは言うまでもない・・・
次回予告
第11話 ホームラン!
だ、誰だよ。テニスは野球よりも簡単だって言ったヤツは・・・