禁断の探求者達 1
プロローグ――"PANDORA"
新暦1075年――リ・ディール
この世界は人と魔物と、ほんの少しのそれ以外の生き物が住まう衰退の世界。
大地は枯れ、魔物は増殖したこの世界は、ある日を境にこうなってしまった。
人々はそれをこう呼んだ――”審判の日”と。
1000年とちょっと前……旧暦が新暦へと変わった日。
まだ人間が”魔力”を有し、機械と科学で世界を制しようとしていた時、人間はその全てを失った。
人間の持っていた”魔力”と、その力を具現化させた”魔術”。そして発達しすぎた科学と自然をおかしすぎた機械の全てを。
リ・ディールに満ちていた力の根源・マナが突如として暴走し、その狂えるマナの強大な力が、リ・ディールの大地を焼き尽くしたのだった。
それが”審判の日”。
世界を制しようとし、戦争を繰り返し世界の理に逆らった人間へ審判が下された日だった。
結果残ったものは、破壊されつくしたリ・ディールの大地と、僅かに残る程度のマナ、そして人間と魔物。
薄れたマナの力では人々は魔術を使えず、やがて人間は魔力を失い魔法を忘れた。
発展し過ぎた便利な科学と機械の世界も失い、人間は残された全てで魔物と戦い、大地を蘇らせようと努力していった。
そして人間が世界再生の努力をして1000年と少し……現在。
相変わらず世界は衰退し、マナも薄れて魔物が多く牙を向くそんな世の中だが、それでも少しずつ世界は回っていた。
人々は街を造り、国を造り、法と秩序を造った。
魔物と戦う術として、魔術以外の戦う術を多く生み出した。
こうして世界、リ・ディールは人の手によって今だ動いていた。
これはそんな世界で、神の奇跡を探求する者の物語。