19 10年早い
ソファーにビーズクッションを自分にフィッティングするように並べ安眠を貪る。
起きた時は一つのルーティーンが俺にはある。
向かいに鎮座する2羽のシマエナガ君に挨拶する事だ。
「えっ・・・シマエナガ君が1羽しか居ない。」
俺が驚きの声を上げると。
「奥様が持ち去られました。」
ベルが答えてくれた。
「えっと・・・、ベルが奥様って言うことはお婆様?」
「はい、その通りです。」
むむむ、いくらお婆様とはいえシマエナガ君に手を出すとは許せんっ。
「お嬢様からクッションは補充していいと。」
「補充?」
よーく見てみると消えたのはシマエナガ君1羽だけでは無かった。
なんて事だ。
俺は履歴からシマエナガ君1羽を召喚し、消えたビーズクッションも補充した。
「それから奥様用にスタンドミラーを1つ出して貰えますか?」
正直断りたい。シマエナガ君に手を出したことは許されないのだ。
しかし、素直に出す俺・・・。
「母上は?」
「奥様と一緒にお茶会の会場におられます。」
ああ、あそこか。
100円ショップのあらゆる商品を使い彩られたこの世界では見ることはないような部屋になっている。
とりあえずお婆様には思うことがあるので、そこへ向かうことにした。
敵影発見!
必殺技の準備完了!
くらえっ、非難の眼差しを。
「まあ可愛らしい。抱っこして欲しいのかしら?」
何故か抱っこされた俺。
普通の子どもは嫌がって暴れたりするんだろうが、冷静に考えなくても危険なことはわかる。
子供ってアホだなあ・・・。
頭から落下したら、どうすんねん。
で大人しく抱っこされている俺氏。
「お母様、その子は抗議してるのよ。」
「抗議?」
「レイリー、そういう事は10年早いわ。」
母上に10年早いと言われた。そうなのだろうか?
「相手の顔を見る為に見上げてたら、何かして欲しいと思われるでしょう。」
くっ、背が低いから駄目なのか。
「まあ私がレイリーに何かしたかしら?」
「クッションを取ったでしょうに。」
「あんなに沢山あったんだし、別にいいわよね?」
抱っこされたままお婆様が言ってきたが、いい訳がない。ビーズクッションならまだしも、シマエナガ君は駄目だ。
しかし、言葉でいう事はしない。
「母上、クッションを補充しました。」
お婆様に抱っこされたまま母上にタブレットを渡した。
「あら?テレサは何をしてるのかしら?」
「レイリーがスキルで購入した物を確認しているのよ。」
「そんな事がわかるのかしら?」
「レイリーのスキルは履歴というものが残るのよ。」
履歴はめっちゃ便利ではある。同じものを購入する時とかよく使う。
管理する母上からしても便利だろう。
しかし何とか釣り道具を購入したい俺としては、こっそり買えないのが不便だ。
「まあまあ、テレサが見てるものには、ここを彩ったような様々な商品があるのかしら?」
「ええそうよ。私もレイリーも把握できない数の商品があるわ。」
「ずるいわ。」
「ずるいと言われても、どうしようもないでしょうに。」
お婆様は俺をそっと降ろすとテーブルの上に何かの端切れを置いた。
「レイリー、これを見てみなさい。」
言われたとおりに端切れを見る。何かの毛皮だろうか?
【シルバーウルフの毛皮】
毛並みは名の通り銀色だが、単なる白銀ではなく、光源に応じて淡い青や紫の魔光を反射する層構造を持つ。一本一本の毛に微弱な魔力伝導性が確認され、外気中の魔素を緩やかに吸収、循環する性質あり。
マントや外陰等に使用される事が多い。
うっうおおおおおおおおおおぉおおおおおおおっ!
俺に俺に俺にっ
鑑定が生えたっ!
来たよ来たよ来たよ。
転生特典の代表格、鑑定さんがついにやって来ました。




