⑦ヴィヴィアンとの深い絆
魔女協会からの帰り道、シャルロッテの心は晴れなかった。マダム・クレアから見せられた、街の「歪み」を写した写真が、脳裏から離れない。
「ねえ、ヴィヴィアン。この歪みって、何なんだろう」
彼女が隣を歩くヴィヴィアンに尋ねると、彼はいつもの仏頂面で、しかし真剣な眼差しで答えた。
「僕にもまだわからない。ただ、僕の浄化の力に、少しだけ反応する」
ヴィヴィアンの能力は、不浄なものを感知し、それを浄化することだった。しかし、彼の力をもってしても、この街に蔓延する「歪み」の根源を突き止めることはできない。それは、まるで街全体が、巨大なフィルターをかけられたかのように、本来の姿とは違う状態になっているかのようだった。
「もしかして、誰かが意図的に魔法を使っているのかな…」
シャルロッテは、不安げにそう呟いた。
「いや、違う。誰かの意思で作り出された、というよりは…もっと無意識的な、本能的な魔法に近い」
ヴィヴィアンは、慎重に言葉を選んだ。彼の言葉に、シャルロッテの心はさらにかき乱された。無意識的な魔法。それは、彼女の得意な「夢の魔術」に通じるものがあった。
「シャル、無理はするな。もし何かあったら、すぐに僕を呼べ」
「大丈夫だよ、ヴィヴィアン。私、魔女協会の期待の新人なんだから」
シャルロッテは、無理に明るく振る舞った。しかし、彼女の心は、すでに恐怖に支配され始めていた。