⑤魔法女学院での賑やかな日々(続き)
学院の門をくぐると、銀色の髪を持つ長身の青年、ヴィヴィアンが仁王立ちしていた。彼は、整った顔立ちとは裏腹に、いつも仏頂面だ。
「シャルロッテ、遅い!」
ヴィヴィアンは、いつものように眉間にしわを寄せて言った。彼の顔には「またベルンとイチャイチャしてたんだろ」と書かれているようだった。
「ごめんごめん! ベルンと朝ごはん食べてたら、つい」
「…ベルンも大変だな」
ヴィヴィアンは大きなため息をついた。彼の言葉の端々には、ベルンへの羨望がにじみ出ている。ヴィヴィアンとベルンは、表面上は犬猿の仲だが、実はとても仲が良い。シャルロッテは、そんな二人の関係を微笑ましく思っていた。
魔法女学院の教室は、外見は普通の学校と変わらないが、中では様々な魔法が飛び交っている。火を放つ魔法の練習で焦げ付いた机や、間違えて水を噴き出させてしまった壁など、至る所にその痕跡が残っていた。
「今日のテスト、夢の魔術らしいね」
隣の席の、ふんわりとした金髪を持つ少女、アメリアが話しかけてきた。彼女もまた、シャルロッテの大切な友人だ。
「うん、夢の魔術って得意なんだ。夢を操ったり、夢の中に入ったり、すごく面白くて」
「それは得意だよね。だってシャルロッテは『夢の魔女』だもん」
アメリアの言葉に、シャルロッテは嬉しそうに微笑んだ。
テストが始まると、シャルロッテは集中して魔法を操った。夢の魔術は、他人の潜在意識に深く潜り込む繊細な魔法だ。しかし、彼女は難なくクリアし、満点を取ることができた。
「やっぱり、シャルロッテはすごいわね」
テストが終わると、ヴィヴィアンが隣にやってきた。
「ヴィヴィアンだって、いつも成績いいじゃん」
「僕は『浄化の魔術師』だ。君みたいに人を幸せにするような魔法は使えない。ただ、不浄なものを消し去るだけだよ」
ヴィヴィアンは少し寂しそうに言った。彼の能力は、強力な反面、少し悲しい力だった。