②魔法女学院での賑やかな日々
学院の門をくぐると、銀色の髪を持つ長身の青年、ヴィヴィアンが仁王立ちしていた。彼は、整った顔立ちとは裏腹に、いつも仏頂面だ。
「シャルロッテ、遅い!」
「ごめんごめん! ベルンと朝ごはん食べてたら、つい」
「…ベルンも大変だな」
ヴィヴィアンは大きなため息をついた。彼の言葉の端々には、ベルンへの羨望がにじみ出ている。ヴィヴィアンとベルンは、表面上は犬猿の仲だが、実はとても仲が良い。シャルロッテは、そんな二人の関係を微笑ましく思っていた。
魔法女学院の教室は、外見は普通の学校と変わらないが、中では様々な魔法が飛び交っている。火を放つ魔法の練習で焦げ付いた机や、間違えて水を噴き出させてしまった壁など、至る所にその痕跡が残っていた。
「今日のテスト、夢の魔術らしいね」
隣の席の、ふんわりとした金髪を持つ少女、アメリアが話しかけてきた。彼女もまた、シャルロッテの大切な友人だ。
「うん、夢の魔術って得意なんだ。夢を操ったり、夢の中に入ったり、すごく面白くて」
「それは得意だよね。だってシャルロッテは『夢の魔女』だもん」
アメリアの言葉に、シャルロッテは嬉しそうに微笑んだ。