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⑯夢の終焉、そして未来
「私は、ベルンの死を受け入れる。」
シャルロッテの決意の言葉が響き渡った瞬間、彼女の周囲を覆っていたアパートの空間が、光の粒子となって崩れ始めた。それは、彼女がベルンとの幸せな時間を閉じ込めていた、魔法の殻が砕け散る音だった。
「シャルロッテ…!」
ヴィヴィアンの叫び声が聞こえる。しかし、彼女の意識はもう、この崩れゆく世界にはなかった。彼女の魂は、過去へと遡っていく。ベルンが病に侵され、日に日に弱っていく姿。彼の最期の言葉。そして、彼女が悲しみから逃れるために、無意識に魔法を発動させたあの夜の光景。
すべての記憶が鮮明に蘇る。それは、痛みを伴う記憶だったが、同時に、ベルンとの愛おしい日々を思い出させてくれる、大切な記憶でもあった。
そして、彼女がすべての記憶を受け入れたとき、光の渦は静かに収束し、彼女は意識を失った。




