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記憶の共有  作者: a.m.
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①回収

閲覧頂き、ありがとうございます。初投稿作品は、2023年の供養になります。お楽しみ頂けましたら、幸いに存じます。

 私には秘密が隠されている。祖父がよく聴いていた音楽。その音色の中で死を受け入れた瞬間、瞼の裏で煌めくものに手を引かれ、導かれた。


 ここはどこだろう。

重い瞼のを開けると宮殿のような場所が、視界いっぱいに映し出された。

「-----?」

その疑問に応じるように、宮殿の使いが声をあげ、こちらこいというように手招きをした。その使いの視線の先には自分だけがいるかと思ったが、その場には、あと2人いたようだ。手招きに従おうとしたとき、大きくてやわらかな布のようなものに横たわっていたことに気づき、いそいそと下りる。私たちがいたロビーのようなところ、そこに繋がる廊下のすぐ手前の一室に通される。中にいた老人は安心しなさいというように微笑み、椅子に腰掛けるような動作をし、その場にいた私たち3人はそれに従った。すると老人の指先がきらりと光った。その瞬間、目の前で火花のように光が散った。

「支障はないかな。」

老人がそう言い放った。一瞬の出来事であった。私も含め3人は、反射的にあっと声を出す。意思疎通が取れるよう、魔法のようなものをかけてくれたことに気づく。

「たくさんの質問が飛ぶ前に、ざっくり君たちの状況について説明しようか。」


 「ここは、01。君たち3人の地球人はたまたま通りかかった惑星、地球の調査中の採取レーダーに引っかかってしまってね。そこから回収物の巻き添えになってしまったんだ。本当に申し訳ない。レーダーの故障による異例中の異例でね。地球から離れてしまったから、次にそちらにいくのは大体地球時間でいうと3ヶ月後。お詫びではあるが君たちの待遇はそれ相応のものにする。気に入れば好きなだけここに住んでいて構わないし、3ヶ月後に帰還してもいい。とりあえずざっくりとした経緯だ。質問がなければ、次にこの施設の説明をするから是非見学を。」

正直言ってぶっ飛んでいるなと思った。でも自分はすぐに決断をしていた。意思でも伝わったのか老人はにこりと微笑んだ。他2人は私と同様に困って頭を抱えていたが、なぜか冷静だった。私自身もそれが何故だか分からない。この異質な空間やあまりにも非現実的な話がそうさせるのだろうか。

「あの…。」

3人のうち1人の30代ぐらいの女性が手を挙げる。

「なんだね。」

「01から地球への通信は可能ですか。」

回答については、皆期待はしていなかった。


 「それではこの施設についての説明は、先程のロビーで話そうか。」

「ここは01の宮殿。惑星研究の施設と隣接していて、研究は01のメイン商業であるといっても過言ではない。それほど力を入れたものになる。君たちは着いて、そこの研究室との結合部分からこちらに運ばれてきたんだ。宮殿の階ごとに結合部分はあるが皇族の方々や宮殿に仕えるもの専用のものになるから研究員と君たちはロビーの入り口から。では、次に君たち用の部屋と利用する場所を説明しておこうか。他は他人の部屋、入るところではないと考えてくれて構わない。」

こういうことがよくあるのか流暢な説明だった。私の理解力の遅さに反して、早々とロビーから順々に施設見学が始まった。ロビーを1階とすると、私たち各々の部屋は2階の客室フロアに用意されていた。部屋はだだっぴろく洗礼された綺麗な内装で、高級ホテルというよりかはその人のための特別な空間という印象だった。食事は好きな時間にロビー横のカフェか自室で。欲しいものがあれば部屋の通信機で伝えるよう言われた。他の行動範囲は決まった区間の庭園と図書館、シアタールームであった。そして、最後に一番最初に入った部屋に通されると悲しげな声色で話を続ける。

「重ねてになるが、君たちには申し訳ないがここで3ヶ月間を過ごしてもらうことになる。宮殿の外には私たちのように好意的に接するものもいれば、君たちを珍しいものとして扱うものもいる。珍しい人ではなく、珍しいものとして扱うんだよ。死の危険があってもおかしくないんだ。ここからは絶対に出ないように。宮殿内はセキュリティもしっかりしているし、安全であると安心してもらっていい。」

珍しいというが私たちにはその違いと言うものがみてわかるものではなかった。身体的特徴や文化的なものはとてもよく似ていたからだ。

「あなた方と私たちに身体的差異を感じないのですが、わかるものなのでしょうか?」

質問をしてみる。

「そうだね。たくさんあるけれども、君たちが目に見てわかるものといえば魔法だね。私たちは魔法を使うことができる。」

最初に言葉が通じるようになったのもきっとそうだろう。2人もそれに頷く。

「それに、私たちは惑星研究に取り組んでいると言ったが、そういった技術に特化しているのも特徴のうちでね。加えて身体が電気への耐性がある上、テレパシーを使うことが可能なんだ。そこに関してはまだわかっていないことも多くあるが。」

「テレパシー、ですか。」

「そう、なんていうかな。頭で相手の回路を探して話しかけるんだよ。それも使える相手は限られるんだけどね。血縁関係者とかまあ色々。」

前の話を遮るようにして老人が手を叩く。

「それでね、君たちにはここで使用できる魔法を1つ授けたいと思う。私は相手の考えを具現化する魔法が得意でね。滞在中も楽しめるようにと思っての贈り物だよ。」

この状況で気持ちが昂るのもおかしな話だが、夢のような話だった。正直ベッドの上でいつ覚めてもおかしくない内容だ。

「考えを具現化させるには、君たちにはどういう魔法が欲しいとかを具体的に頭の中で考えて欲しいんだ。今すぐにとは言わないけどそうだね。とりあえず3日後の昼に行おうか。今日は3人仲良く話したり、宮殿で過ごしてもらってゆっくりしてくれて構わない。ではまた。」


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