6-14(96) 港湾管制室
4週間。カーデンさんが言った、改造にかかる時間。その間雪風は動かすことができない。暇だ。
ちなみにカフディに娯楽らしい娯楽はない。いやまぁ裏を覗けばあるだろうが、ちとコストが高い。それ以前に法律的にグレーゾンだが。
「だから遊びに来た」
「ふざけんなよお前」
ここはカフディの港湾管制室。そう、雪風で入港する時の、あの管制官の職場である。
「どうせ暇だろ?僕がここにいるんだし」
「極々々稀にお前以外の出番があるんだよ」
「例えば?」
「クソでかい残骸を運ぶために一回全部港に叩き込む時とか」
「なんだよAIにできそうじゃん」
「言うこと聞かねぇ連中に怒鳴んのは俺の仕事なの!」
割と重要な仕事である。
「たまにそれでも勝手するやつがおるんよ。そういうときゃな…」
「そういう時は?」
「3番砲でロックする」
「なんで権限ここにあんだよ」
3番砲とは、カフディコロニーに8つある、固定砲座の1つのことである。ちなみにこの港湾は3番砲の射角内である。
「物騒すぎんだろ」
「効き目薄くなるからそう多用しねーよ。ロックしたのだって、俺の人生ではまだ20回程度だ」
「まだってなんだよ。20ってなんだよ」
「実際に撃ったのは3回か?」
「撃ったことあんのかよ」
てかなんで射撃権限がここにあんだよ。警備局管轄じゃないのか?
「1回目は、俺がここ来てすぐん時だな。バカな宙賊どもが来てな…」
「その程度で射撃許可降りんだろ」
衝撃、電磁波、射線上の友軍など。当たり前だが影響がデカい兵器はそう簡単に撃てない。普通は。
「それが奴さん小惑星の影に隠れてさ?近づいたやつ片端から落とし始めたん。ありゃ多分、なんかタネあったな」
「で?」
「見てらんなかったから小惑星ごとぶち抜いた」
スペック上できなくはないだろう。普通やらないが。
「2回目は海軍煽ったうちのバカに。3回目はカフディをロックしやがった海軍のバカに」
「ちょと待て。海軍艦撃ったん?」
「あん時は俺悪くねぇよ。何勘違いしたのか、カフディを接収しようとしたからぶっ放しただけで、当てちゃいねぇよ」
当てていたら大問題である。いや当たっていなくても問題だが。
「んじゃ、あんま邪魔してもアレだし、僕はそろそろ行くよ」
「おう、その意識があるなら来んなよ。業務妨害って知ってるか?」
「…業務してるやつ居るか?」
「ぶん殴るぞ」
読んでいただきありがとうございます。
誤字報告も感謝です。
2025/06/24 執筆完了
2025/08/04 投稿




