6-10(92) とりあえず先送り
「おい、どういうつもりだよ2人って」
「いやウチの乗員は僕ともう1人なんですけれど…」
カーデンさんに詰められる。でも僕の身に覚えないし…
「仲良さそうな2人組の女性でしたよ。艦長さんを探していたようで、我々に聞いてきましたね」
「ひょっとして…それ2人とも雪風の乗員だと言ってました?」
「え?あぁ確か片方の方が言っていましたね」
「もう片方の方は、雪風の乗員ではなく、僕とその人の友人?ですよ」
クローバーがそこまで付いて来ていたとは。まぁあの2人は仲良いか。
「なるほど…ところでつかぬことをお聞きしますが、本当にただのご友人ですか?」
「えぇそうです」
「…本当に?」
「本当です。…何か?」
「おい、奴は勘がいいぞ。なんか隠してるならとっとと吐け」
整備員さんがやけにしつこく聞いてくる。カーデンさんもそれに乗ってくる。それに、そこはかとなく嫌な予感もする。
「いぇ、ここに居ないと伝えた時に、とても悲しそうな顔をしていらしたので、来たら連絡すると約束したのです。そろそろ来られる頃ではないでしょうか?」
「ぇ、ぁー…なんか用事を思い出したので失礼します。カーデンさん修理お願いしますね、では」
「おい逃がさねぇぞ。なんで逃げようとすんのかしらんが、面白そうな匂いがする」
「私は入口の方で待っていますね」
離脱しようとしたらカーデンさんに止められた。しかも整備員さん迎えに行ったみたいだし…
「カーデンさん離してください!頼みますから!」
「お前がそこまで逃げようとするなんて…とりあえず理由言ってみろ」
ーーーーーーーーーー
「つまり何だ?何してたか聞かれて、あの酒場に行ったと答えたく無い、と?」
「あと星屑の砂時計を見られるのも、です。あの人たち好奇心強いんで、絶対に探し始めます」
「連れてってやりゃいいじゃんか」
「あそこまでのルートの治安が悪いし、彼女ら非力な女子ですよ。お守りなんて面倒なことしたくないです」
「ふつーにお前がエスコートする認識なのな。結局惚れてんのかよ。二股は地獄見るからやめとけ。物理的に裂かれるぞ」
「惚れてません!」
焦っている中での押し問答。色々失言した気もするけれど気にしていられない。
「理由言いましたから離してください!あと他言無用です!」
「わかったようるせぇな。だけどもよ、艦の細かい仕様の打ち合わせすんなら、またここ来るだろ?いつか鉢合わせるぞ?先伸ばすだけ無駄だと思うがな…」
「だとしてもです」
問題は先送りにする。悪化するかもしれないが、好転するかもしれない。時間が解決する、なんて言葉もあるし。
残弾尽きました…
読んでいただきありがとうございます。
誤字報告も感謝です。
2025/05/29 執筆完了
2025/05/29 投稿




