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6-7(89) 修理ドック

 コロニーにおいて昼過ぎという時間は、大体の人が昼食を食べ終わった時間、という以上の意味を持たない。恒星の周期とは関係なくコロニー時間を設定しているから、暑くなるとか、暗くなり始めるとか、そういったこともない。

 まぁこの昼食を食べ終わった時間というのがそれなりに重要で、というのはだいたい昼休憩の時間帯であるからである。訪問にはちょうどいい。


 通路に出て、脇にある通称宅配ボックスへ。工業区から出た時に個人倉庫に送った、星屑の砂時計を取り出す。そして、雪風のオーバーホールをしているドックを目指し、移動を始めた。


ーーーーーーーーーー


 カフディコロニーの港湾区。その中の造船修理ドックの駆逐艦用のところに、雪風は嵌まっていた。主砲塔やレーダーマストを外され、その下の内部構造まで点検整備をされている。

 整備員の許可がなくとも、持ち主が自分の艦を見守れるよう作られた、展望デッキのようなところから、僕は雪風を見下ろしていた。


「何か御用でしょうか?」


 気がつくと、そばに1人の青年が立っていた。服装からして整備員見習いといったところか。


「えぇ、これが僕の艦でね」

「失礼ですが、艦名を伺っても?」

「雪風です。見回りご苦労様」


 そう返したら、青年は恥ずかしそうに笑った。

 ドックを覗いている人間は持ち主だけではない。弱点を見つけようとする同業他者、はては次の獲物を選ぶ宙賊のスパイなど。そういった不審者が紛れ込まないよう、ドックでは積極的に声掛けが行われる。場合によっては身分証の提示も求められるが、艦名を即答できればあまり言われない。そこまでしつこくすると「俺が船員に見えないのか!」というトラブルにもなるし…完璧な対策は存在し得ないが、艦名を聞くぐらいなら問題はほぼない。

 ただたまに、とんでもない名前だったり、名前の由来や今までの出来事、その艦がいかに凄いかなどを延々と聞かされることになったこともあると、カーデンさんは言っていたな。


「そうだ、会いに来たんだった。カーデンさん居ますか?」

「親方ですか?わかりました、こちらです」


 彼がカードキーで開けたドアを進み、着いていく。ここは整備場で職人の縄張りであるから、持ち主とはいえ勝手に歩くことはよろしくない。それで作業員の気を散らして、整備が中途半端とか笑えない。

 彼らの仕事は彼らに任せるに限る。僕がすることは、彼らを信じて、艦を限界値のちょっと上でぶん回すことだけだ。え、違う?

読んでいただきありがとうございます。

誤字報告も感謝です。


2025/05/23 執筆完了

2025/05/25 投稿

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