表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サルベージ艦は今日もゆく〈宇宙文明は事故ばかり〉  作者: 売店部のしまなみ
5-死んだトラップ、生きたトラップ
79/104

5-12(79) 3個警備艦隊

 宙図に警報が出て、空間が歪み、艦が出現する。エーテル空間からのワープ解除は、通常宇宙においてはそう観測される。


『多いな』

「知り合いに声かけたからな」


 次々とやってくる海軍の艦を見た輸送艦の乗組員が呟き、僕はそれに答える。

 海軍も手を焼いた相手の、爆散していない残骸がある。我々を護衛したらそれを分ける、という内容を、べシーさん経由で海軍に伝えてもらったからだ。遠距離通信システム有能。


「10隻以上来ましたね…」

「20はいないので、3個警備艦隊といったところでしょうか。僕が連絡した時、べシーさんたちの隊は違う方面にいたので、多分居ないですけれど…」


 カフディ域は、一応帝国海軍の警備範囲内である。定期パトロールこそほぼ無いが、呼べばこうして来てくれる。ただ最寄の海軍基地、ベイスヘ基地の管理範囲は広く、そしてカフディ域自体の重要度はそれほど高く無い。いや別にどうなってもいい訳では無いが、ベイスヘが管理している他の区画と比べると、相対的に重要度が低い。

 したがって他区画を見回っている艦隊の方が多いことになる。逆によく3個艦隊も持ってこれたもんだ。


 とっとと帰りたいので、ハッチを開けている海軍の輸送艦に、残骸たちを押し込む。彼らは彼らの格納用アトラクターを持っているので、僕がすることは、残骸を回転させて入れやすい向きに調整することと、引っかかりそうな出っ張りを切断することだ。普段のサルベージ作業と、そう変わりない。

 ただ気になるのは、そばで似たようなことをして(アトラクターを使って)いる巡洋艦の艦番号に見覚えがあることと、奥に居る駆逐艦にクローバーのマークが塗装してあるように見えることだ。

 …なんで居るの?


 …とりあえず近場の装甲巡洋艦と通信を繋ぐ。たぶんこれが指揮艦だろうし。


「来てくれてありがとう、ベイスヘの警備艦隊であってるか?」

『あぁそうだ。お前が殲滅したんだってな』

「まぁな。あんたがボスか?」

『いや、向こうにいる軽巡だよ。103隊が臨時のボスだ』

「…そうか、ありがとう」


 どうやらあれは本物の、第103警備艦隊らしい。見間違えではなかった。

 …見知った人が相手の方が交渉しやすいと考えよう、うん。ポジティブシンキングだいじ。

 とか考えていたら、件の軽巡から通信リクエスト飛んできた。しかもビデオ通話で。


「…もしもし?」

『おそーい!なんでもっと早く出てくれないの!』


 通話繋いだ瞬間からはしゃぎすぎじゃないのこの人。スピーカーの音量小さめで助かった。


「姉さん、声うるさい」

『あ、ベーグルも居るね。うん、元気そうで何より』

読んでいただきありがとうございます。

誤字報告も感謝です。


2025/05/10 投稿

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ