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サルベージ艦は今日もゆく〈宇宙文明は事故ばかり〉  作者: 売店部のしまなみ
5-死んだトラップ、生きたトラップ
77/104

5-10(77) 宙賊殺し

ちとグロいかも?

 雪風はゆっくりと回頭し、その側面を戦闘宙域に向けていた。これならば6門の主砲と8門の発射管を、同時に敵に向けることができる。


「いきます」


 ベーグルさんが軽く頷いたのを確認し、僕は雪風の主砲を放った。


 主砲発射の衝撃で照準が狂わないよう、微妙に遅延を入れながら撃ち出された砲弾は6発。遅延なしの2発の貫通弾は、輸送艦に気を取られ、甘い回避行動しか取っていなかった敵艦に命中した。なんの障害もなくシールドを貫通した2発のうち、片方は狙い通りに艦中央に着弾、そこにあったシールドジェネレーターをズタズタに引き裂き機能停止させ、もう1発は少しずれ、燃料タンクに大穴を開けた。

 一瞬あとに撃ち出された4発の質量弾のうち、3発が一拍遅れて着弾した。貫通弾によってシールドを張れなくなった敵艦は、質量弾の破壊をもろに受ける。

 結果、そこには電波妨害をしていた巡洋艦のスクラップが完成した。


「おぉ…」

「無力化。つぎ」


 再びの6門の主砲による斉射。弾着修正がしやすいように着色された光が、もう一隻の巡洋艦に向かってゆく。彼らも電波妨害していた艦が沈んだことに気付いたようだが、攻撃されたという認識に至るまでが遅い。

 6発の貫通弾は、わずかな時間差がありつつも、全弾が命中し、そのうちの1発がシールドジェネレーターとワープ装置を吹き飛ばした。その結果、この巡洋艦はエーテルの青い光を放ちつつ爆散した。


「綺麗だな」

「えぇ…」


 若干引かれているけれど、綺麗なものは綺麗だ。まぁ艦が沈んだ光だし何人か死んだだろうが、正直あまり実感は湧かない。宙賊殺しについての感覚は、とっくの昔に麻痺している。


「見ず知らずの敵の生き死ににまで気を配っていたら持ちませんよ?そういったものは、法律のこちら側の人間についてのみ考えるべきです」


 アトラクターで速度を落とし、回避が鈍くなった敵に質量弾を当てながら言う。今のだって単純な衝撃、あるいはそれで破損し吹き飛んだ物によって、中の生物に害を与えただろう。角度からすると首を折ったかもしれない。


 それで?


 幸か不幸か、僕らが亡骸を見ることはほぼ無い。回収し解体する残骸の中にそういったものがあったとして、自動解体ロボが清掃する。宙賊基地に乗り込んだ時や、救難要請艦に乗り込んだ時に見ることはあるが、言ってしまうがそれは奴らが作ったもの。それを見たことがあると、宙賊を始末することにむしろ抵抗が無くなる。


 一応ここらの法律にも、人殺しちゃダメってものはある。ただ帝国宇宙法でもその上位の宇宙法でも、正直言って宙賊を人間としてみていない節がある。(いわ)く、有人艦には正規の艦籍タグを付けなければならない。

 つまり艦籍タグのついた艦は有人であるから手心を加えろ。だが正規の艦籍タグが付いていない艦は無人であるから、どう扱っても良い、と。そして宙賊の艦にタグがある訳がない。

 というか宙賊艦を破壊したら宙賊の生死問わず報奨金が出る時点で、なんかもう生かす気ないんだなと。

読んでいただきありがとうございます。

誤字報告も感謝です。


2025/04/28 投稿

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― 新着の感想 ―
これくらいグロくもなんともないでしょう。 海賊を殺すのにいちいち言い訳するのは止めましょう。小中学生相手の小説じゃないんだから。
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