5-9(76) 奇襲準備
「さて、電波妨害持ちを沈めましょう」
「その心は?」
「他の艦や海軍の応援も期待できるようになるし、あの輸送艦とも連絡が取りやすくなります」
救難対象は見つけた。襲撃者はまだこちらに気づいていない。ならば何も考えずに突っ込むより、優先度合いの高いものを見つけ、狙うべきだ。
「積極的に攻撃しないし、常にある程度距離を取っている奴を探してください。他よりも少し大きいかもしれません」
妨害に使うエネルギーは少なくない。余計なエネルギー消費は防ぐだろうから、攻撃は多分していない。堕とされるわけにもいかないから、あまり近づかない。そんな艦が電波妨害をしているだろう。
あとはそれを、パッシブ型である光学観察で見つけるだけだ。妨害を超える出力でレーダーを打つと、間違いなくバレてしまうしね。
「…居ました。コイツだけ他と動きが違います」
「どれどれ…おぉよく見つけましたね」
「えへへ」
ベーグルさんが見つけた艦に、優先攻撃のタグを振っておく。外観が普通の艦で助かった。画像追尾がしやすい。たまに居る小惑星かデブリみたいな形の艦は、あっけなく画像ロックが外れるんだ。そういった奴らは簡単にレーダーロックができるんだが、今回のようにレーダーが使えない時には相性が悪い。
「画像ロックはこちらから電波を出したりしないので、ロックしてもバレないのです」
ある程度近づかないとロックもできないが、相手の電波妨害艦のおかげで、この周辺ではレーダーがまともに動かない。それは雪風が見つかりづらいことを意味する。もしワープアウトするならば、歪みが観測されて、すぐに見つかるだろうけど。
「撃った瞬間にこちらの存在もバレるので、そこからは戦闘機動をとります。覚悟をしておいてください。あと…」
「あと?」
ベーグルさんを正面から見つめて言う。
「場合によっては沈められる、捕まる事の覚悟もお願いします」
「…艦長さんは、そうならないように動くんでしょう?」
「えぇしかし、何事にもその時の運と、万が一があります」
どんなことにも運は関わる。致命的な間の悪さ、その連鎖から、完璧と思われたシステムが一瞬で崩壊することもある。
運とは、そういう物だ。
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2025/04/24 投稿




