5-4(71) フヨクルフ集積場
あれから海軍や宇宙局に通報したり、他の宙賊の手口を紹介したり。そんなことをしながらも、特に問題なくフヨクルフに着いた。
フヨクルフ集積場は、採掘用の基幹港だ。完全に加工業務にシフトしたカフディの代わりに、小惑星の採掘と簡単な加工を行なっている。そして加工済みの鉱石は、カフディやその他の工業コロニーへ運ばれてゆく。
チカチカと、進行方向を知らせる位置灯が、コロニーに近づいたり離れたり、忙しなく動いている。それに混じって、コロニーのナビゲートランプやアトラクタービームも、たまに見える。
「入港しないんですか?」
「あそこはコロニーとはなっていますが、採掘艇などが入港できる小型のドックしかないんですよ。大型艦はある程度離れた所を周回するか、積み込みドックに泊めるしかないですね」
指差した先には、衝突防止灯をイルミネーションライトのように点灯した大型艦と、その周りをちょこまか動く小型艇が見える。大型艦はカーゴハッチを開いてアトラクターを使い、絶賛積み込み作業中である。
「綺麗でしょう?」
「ですね」
「僕らの艦から、機械、果てはコップに至るまで、原材料はどれもこういった場所で精製され、そして運ばれていくんですよ」
教科書で学び頭で分かったことであっても、実際に見るとまた違った衝撃があるだろう。それがここを目的地とした理由の1つだった。
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前来た時から溜まっていた、小型艇では動かしづらい大きさの鉱石塊を、雪風のパワーに任せて動かす。そのままゆっくりと引っ張ってから、指定された位置に配置する。
雪風でフヨクルフに来る他の、というか本命の理由が、この鉱石塊の移動作業だ。掘り終わった小惑星なんかを作業場から移動させる作業だが、これが小型艇だと骨が折れる。何隻かで引けば動かせないことはないが、加速も減速も方向転換も、タイミングを合わせないと事故の元である。他の小惑星なんかと挟まろうものなら、物理的に竜骨が折れる。だから雪風のような、十分なパワーを持った艦が来たときに、小遣い稼ぎの依頼として要請されることが多い。
「彼らは自分たちで牽引艦を持たないんですか?」
「艦の維持整備コスト、乗員訓練費、免許などを考えると、あまり使わない大型艦は合わないのでしょう」
「ここまで小惑星を運んでくる艦はどうです?パワーはありそうですが…」
「あれは小回りが効かないし、加減速が多いと燃費が…それに運んでくるのも依頼された別組織ですしね」
採掘作業場の小惑星の間を、採掘艇に誘導されながら縫うように動く。目当ての塊を掴み、邪魔な小惑星を避けながら、フヨクルフのアトラクターの射角へ移動させる。後は必要に応じで、彼らで処理するだろう。
読んでいただきありがとうございます。
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2025/04/11 投稿




